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2023
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既存建築物省エネ化推進事業の補助金を解説!省エネ改修とバ

既存建築物省エネ化推進事業の補助金を解説!省エネ改修とバリアフリーの支援について

既存建築物省エネ化推進事業の補助金は、省エネルギー改修とバリアフリー化を進める上で重要な支援策です。とはいえ、具体的にどのように省エネ改修をすればよいか、またその申請が不透明でお悩みの方も多いでしょう。本記事では、補助金の概要から申請条件、対象となる改修内容までを詳しく解説します。エネルギー消費の削減はもちろん、高齢者や障がい者にも配慮した住環境の実現を目指し、持続可能な社会づくりに貢献するこの補助金制度の魅力に迫ります。

既存建築物省エネ化推進事業について

2050年のカーボンニュートラル実現に向け、日本では建築物ストックの省エネ化を進めることが急務となっています。既存建築物省エネ化推進事業は、この目標を達成するための重要な取り組みの一つです。この事業は、民間事業者等が行う建築物の省エネルギー改修工事に対して、国が費用の一部を補助することで、改修活動を後押しします。

具体的には、建物の躯体(外皮)の改修や、空調の効率化を図る換気設備の導入など、省エネルギー改修工事を支援する内容となっています。また、省エネルギー改修と同時にバリアフリー改修を行う場合も補助の対象ですが、省エネ効果としては20%以上の削減が見込まれることが条件とされています。

なお、工場や実験施設、倉庫など生産用設備を有する建築物の改修や、家電製品の単純な交換は補助の対象外です。2023年度の第1回公募では、全国から46件の応募があり、そのうち総合的な省エネ効果が大きいと評価された40件が国土交通省により採択されました。

事業要件

既存建築物省エネ化推進事業の事業要件は以下の通りです。ほかの省エネ補助事業には含まれない項目も含まれます。全てを満たす必要があるので注意しましょう。

1.躯体(外皮)の省エネ改修を行うものであること。 

※ただし、高機能換気設備を設置する場合は、躯体改修は必須ではない(R4年度からの変更点)。

2.建物全体におけるエネルギー消費量が、改修前と比較して 20%以上の省エネ効果が見込まれる改修工事を実施するものであること。(ただし、躯体(外皮)の改修面積割合が 20%を超える場合は、15%以上の省エネ効果とする)。 

3.改修後に一定の省エネルギー性能に関する基準を満たすこと。 

4.改修後の建築物の省エネルギー性能を表示すること。 

5.エネルギー使用量の実態を把握する計測を行い、継続的なエネルギー管理、省エネルギー活動に取り組むものであること。 

6.事業費の合計が500万円以上であること。

7.採択年度中に着手し、原則として当該年度に事業を完了するものであること。 

8.改修後に耐震性を有すること。 

9.事例集等への情報提供に協力すること。 

既存建築物省エネ化推進事業の補助金

既存建築物省エネ化推進事業の補助金の詳細を解説します。

  • 補助対象工事
  • 補助額
  • 公募期間
  • 関係書類

補助対象工事

既存建築物省エネ化推進事業における補助対象工事は、省エネルギー性を高めるための改修や、そのための計測・表示に関連する費用を含みます。具体的には、以下の4点が該当します。

  1. 省エネルギー改修工事費用: 建築物の省エネルギー性能を向上させるための改修工事に要する費用。これには、外皮の断熱改修や高機能換気設備の導入などが含まれます。
  2. エネルギー使用量計測費用: 改修後の建物におけるエネルギー使用量を正確に把握し、省エネルギー効果を検証するための計測に関連する費用。
  3. バリアフリー改修工事費用: 省エネルギー改修工事と同時に実施されるバリアフリー改修に要する費用。これにより、利便性の向上と共に省エネルギー性能の向上を図ります。
  4. 省エネルギー性能表示費用: 改修によって向上した省エネルギー性能を表示し、その効果を可視化するための費用。

これらの補助対象費用は、建築物の環境負荷を低減するだけでなく、長期的なエネルギーコスト削減や居住者の快適性向上に寄与します。補助金を利用して、持続可能な建物改修に取り組むことが推奨されています。

補助額

補助金の額は、改修工事費用の1/3で、最大で5,000万円(設備改修は最大2,500万円)が支給されます。バリアフリー改修を同時に行う場合、省エネ改修にかかる補助額を上限にさらに2,500万円が加算されます。

公募期間

2023年度の公募期間は以下となります。

1次公募:4月17日から5月22日まで

2次公募:9月11日から10月10日まで

計画がある場合は、期間内に申請する必要があります。

関係書類

必要書類は既存建築物省エネ化推進事業ホームページにて確認、ダウンロードが可能です。

申請にあたっては、事業登録後、下記必要書類を提出する必要があります。

①補助金の交付申請書:補助金申請のための必要書類。署名・捺印を含む必要事項の記入が必須。

②補助対象工事の明細:工事内容、規模、予算を記載した詳細明細。

③建築主等の同意書:改修工事の同意を示す、建築主や所有者の署名・捺印を含む文書。

④建物概要表:建物の基本情報を記載する表。名称、所在地、構造、規模など。

⑤設計図書(建築確認申請時):改修前の設計図書。建築確認申請時の図書コピー。

⑥設計図書(改修後):改修内容を反映した最終版の設計図書。

⑦エネルギー使用量の詳細資料:エネルギー使用量と省エネ対策を記した資料。

⑧実績報告書:完了した改修工事の内容、期間、費用等を詳細に記載した報告書。

⑨設計図書:改修工事の設計内容を示す図書。工事の詳細、構造、仕様記載が必要。

⑩省エネルギー性能の改善効果を示す資料:省エネ改善効果の計算結果や評価を記載した資料。

⑪事業計画及び補助申請額:事業計画と補助額を記載。バリアフリー改修の有無も記入。

⑫事業費の内訳:工事費用の内訳を明記。金額は消費税を除いて千円単位。

⑬標準単価方式による補助金の額の算定:標準単価方式で算定した補助金額。省エネ率と金額は消費税を除く。

⑭バリアフリー改修工事の概要及び事業費の内訳:改修箇所と費用の内訳。金額は消費税を除く。

⑮日射調整フィルムに関する添付資料:製品名、性能、負荷増減量等を記載。フィルム施工時の留意点もチェック。

⑯省エネ性能基準満足及び表示確約の念書:省エネ基準満足と第三者評価表示の確約書。

⑰耐震性チェック項目:建物の耐震性を確認するためのチェックリスト。

⑱応募書類チェック表:応募書類と添付資料の完全性を確認するチェックリスト。

⑲改修範囲明示の図面類:改修対象範囲を示す図面。立面図、平面図で明示。

⑳エネルギー使用量計測範囲・方法明示の図面類:計測範囲や方法を示す図面。計測対象、点、データ記録方法等を記入。

採択のポイント

既存建築物省エネ化推進事業の補助金の採択にはいくつかのポイントがあります。おすすめの内容は次の3点です。

  • 日射調整フィルムの追加
  • サッシの改修
  • 断熱材の改修

日射調整フィルムの追加

既存建築物省エネ化推進事業の採択には、日射調整フィルムの追加が有効です。このフィルムは窓からの熱の侵入を大幅に削減し、冷房効果の向上によって省エネを実現します。さらに、透明感を保ちながら、紫外線も99%以上カットするため、居住空間の快適性も向上します。賃貸など変更が難しい建物でも手軽に取り入れられる点も魅力です。そのため、既存建物の省エネ化を進める上で、日射調整フィルムの追加は、効果的かつ実用的な選択肢と言えるでしょう。

サッシの改修

既存建築物省エネ化推進事業においては、サッシ改修が極めて効果的です。特に既存の建物では、気密・断熱性能が低いサッシが使用されているケースが多く、そこからの熱損失が大きいためです。サッシの隙間や断熱性の不足は、室内と外気との間で熱が逃げやすくなり、エネルギーの無駄遣いに直結します。改修により断熱性を高めることで、夏の冷房や冬の暖房効率が大幅に向上し、省エネと室内の快適性の双方が改善されます。サッシ改修は建物の価値を高める効果もあり、省エネ化推進のための重要な施策と言えるでしょう。

断熱材の改修

既存建築物省エネ化推進事業において、断熱材の改修は核となる施策です。建物の外皮面積の大部分を占める壁、屋根、床は、熱損失や熱取得の主要な部分であり、既存の建築物ではこれらの断熱性能が不十分か、経年劣化によりその効果が低下していることがよくあります。これらの部分に高性能の断熱材を導入し改修することで、熱の出入りを大幅に抑制し、省エネ化を実現できます。室内の快適性を保ちつつエネルギー消費を削減できるため、事業の採択において高い評価が見込まれます。また、断熱材の改修は、温度変化による建物の損傷を防ぎ、建物の耐久性を向上させる効果も期待されます。

既存建築物省エネ化推進事業の補助金を解説!省エネ改修とバリアフリーの支援について【まとめ】

既存建築物省エネ化推進事業の補助金は、省エネ改修とバリアフリー化を支援します。所有者は経済的な負担を軽減しながら省エネ施策を実施可能です。バリアフリー化も促進され、スロープの設置や手すりの追加などが支援されます。この補助金は、快適性、利便性の向上と、持続可能な社会の実現に寄与する重要な政策です。

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