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環境性能お役立ちコラム
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2022
7
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様々な省エネ・環境の判定・認証制度を分かりやすく解説

2000年に入ってから環境への関心が徐々に高まり始め、2010年前後には省エネ・環境の観点から不動産を評価する認証制度が次々と始まりました。
しかし、様々なある中でどの認証制度に申請すればいいのか分からない方も多いと思います。
ここでは、既存物件を所有する不動産オーナー、Riet、ディベロッパーなどの方々へ向けて、日本でメジャーな3種類の環境性能認証を解説していきます。

<環境性能認証の概略>

     
制度の種類 評価範囲 評価期間
CASBEE不動産 総合的な環境性能 CASBEE評価認証認定期間
DBJグリーンビルディング認証 総合的な環境性能 一般財団法人日本不動産研究所
BELS 建築物の省エネ基準 登録省エネ評価期間

CASBEE不動産

「CASBEE」とは、Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiencyの頭文字を取った略称で、日本語では「建築環境総合性能評価システム」と言います。高い省エネルギー性能や環境負荷の少ない資材・建材の使用といった環境配慮に加え、室内の快適性や景観への配慮なども含めた、不動産の品質を総合的に評価するシステムです。

対象

竣工後1年以上の運用実績を有する不動産が対象です。
不動産の規模は条件にはありませんが、不動産の延べ床面積に対して一定割合以上、事務所、店舗、集合住宅、物流施設、改修用途部分が含まれていることが必要となっています。

評価項目

CASBEE不動産の評価項目は「不動産の環境品質・性能:Q」と「不動産の環境負荷:L」です。Q/Lで評価結果を表し、分子のQの値が大きいほど、分母のLの値が小さいほど高く評価されます。「Sランク(素晴らしい)」「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」の5段階でランク付けします。

<不動産の環境品質・性能:Q>

  • 室内環境…騒音、温度、湿度、光、空気などの対策レベル
  • サービス性能…機能性、快適性、耐用性などの確保レベル
  • 室外環境(敷地内)…まちなみ、景観、屋外(敷地内)の生物環境などの配慮レベル

<不動産の環境負荷:L>

  • エネルギー…不動産や設備の負荷レベル
  • 資源、マテリアル…資源浪費や有害物質の使用レベル
  • 敷地外環境…大気汚染、騒音、振動、悪臭などの発生レベル

取得する意味

CASBEE不動産を取得するメリットは大きく3つあります。

  1. 投資家へのアピール
    近年グリーンビルディングという環境に配慮された不動産を高く評価する傾向が不動産投資市場で高まっています。2015年のパリ協定でSDGsが制定されたことによって、ESG投資の機運が高まっていることが要因として挙げられます。CASBEE不動産は第三者機関により「環境への配慮」「快適性」といった不動産の質を総合的に評価してもらった証になるため、投資家へのアピールに繋がりやすくなります。
  2. GRESBの加点対象
    GRESBとは不動産セクターやファンドがサステナビリティや環境に配慮しているかどうかを評価するベンチマークシステムのことです。GRESBで高スコアを得ることで、投資家が資産運用を行う際に指標として有利に働きます。CASBEE不動産はその不動産がどれだけサステナビリティや環境への配慮を行っているかを評価するシステムですので、GRESBの加点に繋がりやすくなるのです。
  3. 賃料アップ
    一般財団法人日本不動産研究所による「不動産投資家調査」によれば、CASBEE不動産を取得しているようないわゆる『ESG不動産』はそうでない不動産と比べ10年後には最大で6~10%賃料が上がるのではないか、という調査結果が出ています。

DBJ グリーンビルディング認証

日本政策投資銀行(DBJ) が金融機関として日本で初めて導入した環境性能認証が「DBJ グリーンビルディング認証」です。その特徴は下記の3点です。

  1. 総合評価
    「建物の環境性能」「リスクマネジメント」「ステークホルダーとの協働」「周辺環境・コミュニティへの配慮」「テナント利用者の快適性・多様性」の5つの観点から、不動産を網羅的に評価します。
  2. 簡明性・簡便性
    ステークホルダー間でのコミュニケーションが取りやすいように、端的で分かりやすい評価項目で構成されています。また、不動産所有者にとって申請しやすいように、簡便な手続きで取得できるよう設計されています。
  3. プライズ
    DBJ グリーンビルディング認証には星1~星5の5段階で評価されます。DBJグリーンビルディング認証は星(プライズ)の数がいくつであれ、この星を持っていること自体が価値になるよう設計されていますので、環境性能認証に詳しくない人にとっても分かりやすいものとなっています。

対象

現在は〈オフィスビル〉〈ロジスティクス〉〈リテール〉〈レジデンス〉の4種類を対象に展開しています。

評価項目

社会・経済に求められる不動産を総合的に5つの観点で評価します。
5つの観点全84項目で評価し最終的に星5から星1の5段階で総合評価が決まります。

  1. Energy&Resources=不動産の環境性能
    これは、不動産の省エネ性能や再エネ性能、節水などいわゆる省エネに関する評価項目です。
  2. Resilience=危機に関する対応力
    これは、耐震性能や備蓄、警備体制など、天災時の備えや防犯対策など、有事の際の対応力を評価します。
  3. Partnership=ステークホルダーとの協働
    これは、ステークホルダーとの関係性や環境啓発活動への貢献といったパートナーシップや開示活動を評価する項目です。
  4. Amenity=テナント利用者の快適性
    これは、設備仕様や環境だけでなくそこを利用する人々への健康配慮といった、利便性・空間快適性を評価する項目です。
  5. Community&diversity=多様性・周辺環境への配慮
    これは、建物外も含めた利用者の多様性創出や景観への貢献、地域との積極的関わりを評価する項目です。

取得する意味

  1. スコアリングされることで不動産価値が見える化される
    DBJグリーンビルディング認証を取得するだけでも不動産価値の証明になります。それだけでなく、DBJグリーンビルディング認証は認証可能不動産の中でそれぞれ何%に星いくつを与えるか定めています。したがって、星の数がそのまま他の不動産との差別化に繋がるため、より不動産価値を上げやすくなります。
  2. 運用体制の効率化や再構築が図りやすくなる
    DBJグリーンビルディング認証は社会動向を反映して評価基準を改定しているため、最新の情報に基づく不動産コンサルティングや現状に対する適切なフィードバックを受けやすくなります。これによって、運営体制の業務効率化や再構築を行うことで、経営の健全化を常に図ることが可能になります。

BELS

「BELS」とはBuilding-Housing Energy-efficiency Labeling Systemの略称で、日本語では「建築物省エネルギー性能表示制度」と言います。CASBEE不動産やDBJグリーンビルディング認証とは異なり、不動産の省エネルギー性能に特化した評価制度となっており、星5段階で表されます

対象

対象となる建物用途は全てです。

評価項目

BELSの評価項目は「外皮性能」と「一次エネルギー消費性能」です。
「一次エネルギー消費性能」の高さによって、最高レベル星5の5段階で評価されます。

<5段階の指標>

★5:一次エネ消費=20%以上 BEI=0.8以下
★4:一次エネ消費=15%~19% BEI=0.85~0.81
★3:一次エネ消費=10%~14% BEI=0.9~0.86
★2:一次エネ消費=0%~9% BEI=1.0~0.91
★1:一次エネ消費=-10%~-1% BEI=1.1~1.01

「一次エネ消費」と「BEI」はどちらも意味合いは同じで、環境省の定めた標準一次エネルギー消費量と比較したときに、実際に不動産のエネルギー消費量がどれくらい削減されているかを示しています。
たとえば、★5の「一次エネ消費=20%以上」というのは標準一次エネルギー消費量を100としたときに、実際の不動産のエネルギー消費量がその80%以下に抑えられていることを示します。

取得する意味

BELS評価書を取得していることで、住宅であればZEH補助金、非住宅であればZEB補助金が利用できるようになります。
また、住宅・非住宅共にBELSの取得・表示に対して補助金が出る制度もあります。
BELSは第三者機関によって不動産の省エネ性能を分かりやすく表示してくれているので、ESG投資の観点から不動産が評価されやすくなることも大きなメリットとなります。
ESG投資市場の規模自体もますます拡大しているため、既存の不動産に対してBELSを取得する動きはますます活発になっていくと予想されます。

不動産価値を高めようと環境性能認証の取得に動こうにも、認証制度が多すぎて中々難しい方々もいらっしゃると思います。

さらに詳しく環境性能認証について相談したい方は、

当サイトの独自調査に基づき、特に業界内でも幅広く環境性能認証サポートに精通しているおすすめサポート会社をピックアップしていますので、下記もご覧ください。

おすすめサポート会社三選

環境・省エネルギー計算センター

上場企業や大手設計事務所から個人設計事務所まで累計1000件以上をサポートしており、年間でも500棟程度をサポートしている業界トップクラスの実績を持ちます。

サポート範囲はCASBEE不動産にとどまらず、BELS、DBJグリーンビルディング認証、関連する補助金支援と業界で唯一総合的にコンサルティングできる会社です。

具体的なご依頼だけでなく、何をどこに相談すればいいかわからないといった方にもおすすめのサポート会社です。

株式会社イズミシステム設計

業界トップクラスの省エネ計算実績を誇る会社です。

CASBEE不動産やBELSで高評価を獲得するためのコンサルティングなど、認証をただ取得するだけでない、付加価値を提供してくれます。

CASBEE不動産、BELSを依頼する上で信頼出来る会社にお願いしたい方はおすすめです。

株式会社イエタス

住宅における、CASBEE不動産、BELS、ZEHの申請サポートと、取得のためのコンサルティングに定評のあるサポート会社です。

近年では、非住宅分野(ZEB)にも事業を拡大しており、住宅と非住宅が複合している不動産なども安心して依頼可能です。

戸建て・集合住宅を軸に、環境性能認証を依頼したい方におすすめのサポート会社です。

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