TOP
>
省エネ計算お役立ちコラム
>
2023
8
10

ZEH基準について徹底解説

ZEHの定義と種類

まず初めに、ZEHの定義と種類について解説します。

ZEHの定義

ZEHとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅のことです。一次エネルギーとは、電気に変換される前の石炭や天然ガスなどのエネルギー資源のことで、ZEHでは、省エネルギー性能や再生可能エネルギーの導入などによって、住宅で使う一次エネルギーの消費量を減らし、発電量を増やすことで、収支をゼロまたはマイナスにします。

ZEHの種類

・ZEH:断熱 + 省エネで20%以上、創エネを含めて100%以上の一次エネルギー消費量を削減した住宅

・ZEH +:ZEHよりも高い基準を満たした住宅。断熱 + 省エネで25%以上、創エネを含めて100%以上の一次エネルギー消費量を削減し、外皮性能のさらなる強化や高度エネルギーマネジメントなどの条件をクリアした住宅

・ZEH Oriented:安全性や天候の問題などによりZEHの要件を満たすことが困難な地域を考慮し、創エネを必要要件としない住宅。断熱 + 省エネで20%以上の一次エネルギー消費量を削減した住宅

・Nearly ZEH:住宅スペースの問題で太陽光発電装置を十分に設置することが困難な場合を考慮し、創エネの基準がZEHよりも低くなっている住宅。断熱 + 省エネで20%以上、創エネを含めて75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減した住宅

・Nearly ZEH +:Nearly ZEHよりも高い基準を満たした住宅。断熱 + 省エネで25%以上、創エネを含めて75%以上100%未満の一次エネルギー消費量を削減し、外皮性能のさらなる強化や高度エネルギーマネジメントなどの条件をクリアした住宅

これらの種類は、それぞれ異なる対象や条件があります。自分がどの種類のZEHに興味があるかによって、必要な取り組みやメリットも変わってきます。

ZEHのメリット

ZEHには、経済性、快適・健康性、レジリエンスという3つの大きなメリットがあります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

経済性

光熱費や売電収入で家計を節約できるZEHは、省エネルギー性能や再生可能エネルギーの導入によって、光熱費を大幅に節約できます。例えば、ZEH Orientedの住宅では、一般的な住宅に比べて年間の光熱費が約4万円も安くなるというデータがあります。また、太陽光発電装置を設置した場合は、余剰電力を電力会社に売電することで、さらに家計を助けることができます。売電収入は、設置容量や地域によって異なりますが、平均的には年間約10万円程度とされています。これらの節約効果は、住宅ローンの返済や資産形成にも役立ちます。

快適・健康性

高断熱で室温が一定に保たれ、結露やカビを防ぎ、ヒートショックなどの健康リスクを低減できるZEHは、高断熱で室温が一定に保たれるため、夏は涼しく冬は暖かい快適な暮らしを実現できます。高断熱は、結露やカビの発生を防ぎ、空気の清浄化や湿度調整などの効果もあります。これらは、アレルギーや喘息などの呼吸器系の症状を軽減することにもつながります。また、高断熱は、室内外の温度差を小さくすることで、ヒートショックや冷え性などの健康リスクを低減することもできます。ZEHでは、健康的で快適な住環境を作ることができます。

レジリエンス

太陽光発電や蓄電池で災害時にも電気が使え、安心できるZEHは、太陽光発電や蓄電池で自家発電することができるため、災害時にも電気が使えるというメリットがあります。停電や節電の際にも、ライフラインとして必要な電気を確保することができます。また、蓄電池は、夜間や曇天時にも太陽光発電した電気を使うことができるため、日中と夜間の電力消費量のバランスを取ることもできます。ZEHでは、災害に強く安心できる住まいを作ることができます。

ZEHの課題

ZEHには、多くのメリットがありますが、同時にいくつかの課題もあります。それらは、主に初期費用、設計・施工、普及促進という3つの側面に分けられます。それぞれについて詳しく見ていきましょう。

初期費用

高断熱や太陽光発電などの設備投資が必要ZEHを建てるには、高断熱や太陽光発電などの設備投資が必要です。これらの設備は、一般的な住宅に比べて高価であり、ZEHの初期費用は約200万円程度高くなると言われています。このような高額な初期費用は、ZEHを建てる際の最大のハードルとなっています。しかし、ZEHは、長期的に見れば光熱費や売電収入で初期費用を回収できるという経済性があります。また、国や自治体などから補助金や税制優遇などのインセンティブも受けられます。これらのことを考慮すれば、ZEHの初期費用は決して高くないと言えるでしょう。

設計・施工

ZEHに適した外皮や設備の選定や配置、気密性能や換気システムなどの専門的な知識が必要ZEHを建てるには、ZEHに適した外皮や設備の選定や配置、気密性能や換気システムなどの専門的な知識が必要です。これらのことを適切に行わなければ、ZEHの性能を十分に発揮できないだけでなく、住宅の品質や安全性にも影響を及ぼす可能性があります。そのため、ZEHを建てる際には、ZEHに精通した設計者や施工者を選ぶことが重要です。しかし、現在ではまだZEHに対する技術力や経験が不足している設計者や施工者も多く存在します。そのため、ZEHの品質や信頼性を確保するためには、国や業界団体などが行っているZEHの認証制度や研修制度などを活用することが必要です。

普及促進

ZEHの認知度や理解度がまだ低く、補助金や税制などのインセンティブが不十分ZEHは、エネルギー問題や環境問題に対する有効な解決策として注目されています。しかし、ZEHの認知度や理解度はまだ低く、一般的な住宅と比べて普及率も低いです。2019年のZEHの普及率は、新築住宅の約13%にとどまっています。これは、国が目標としている2020年までに新築住宅の50%、2030年までに新築住宅の100%をZEHとするという計画に対して、大きく遅れていることを示しています。ZEHの普及促進には、ZEHの魅力やメリットを広く知らせることや、補助金や税制などのインセンティブを充実させることが必要です。また、ZEHの建築基準や性能評価などの制度を整備し、ZEHの品質や信頼性を高めることも重要です。h2.ZEHの普及状況と目標(網羅性)ZEHは、日本のエネルギー政策や住宅政策の重要な柱となっています。ZEHの普及状況と目標について、以下のようにまとめることができます。

ZEHの普及状況

ZEHの普及状況は、年々向上しています。2020年度において、ハウスメーカーが新築する注文戸建住宅においては約56%がZEHとなりました。これは、2019年度の約46%から大幅に増加したことを示しています。また、令和4年3月現在、全国で4,722社がZEHビルダーとして登録されました。ZEHビルダーとは、ZEHの普及に積極的に取り組む住宅事業者や工務店などのことで、国や業界団体などが認定しています。ZEHビルダーは、ZEHの設計・施工・販売・アフターサービスなどに関する技術力や知識を持ち、ZEHの品質や信頼性を高める役割を担っています。

ZEHの普及目標は

ZEHの普及目標は、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画において、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」という政府目標が設定されました。これらの目標は、日本が掲げる2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量がゼロ)への道筋として、住宅分野でのエネルギー消費量やCO2排出量を大幅に削減することを意図しています。2021年度からは、2030年目標の達成に向けて、2020年度のZEHの供給実績に応じて、ZEH化率が50%を超えている場合は75%以上を、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として宣言・公表した新たなZEHビルダー制度が開始されました。この制度は、ZEHビルダーに対するインセンティブや支援を強化し、ZEHの普及促進を加速させることを目的としています。

ZEHの補助金や税制の情報

ZEHは、地球温暖化対策やエネルギー安全保障の観点から、国が推進している住宅のあり方です。ZEHに関する補助金や税制は、以下のようになっています。

ZEHに関する補助金環境省が実施している「戸建住宅ZEH化等支援事業」では、ZEHやZEH+(高度エネルギーマネジメントを導入した住宅)などの省エネ住宅を新築・取得する場合に、最大50万円の補助金を受けることができます。経済産業省が実施している「次世代省エネルギー住宅等導入促進事業」では、ZEHやZEH+などの省エネ住宅を新築・取得する場合に、最大30万円の補助金を受けることができます。国土交通省が実施している「認定長期優良住宅等新築促進事業」では、ZEHやZEH+などの省エネ住宅を含む認定長期優良住宅を新築・取得する場合に、最大100万円の補助金を受けることができます。これらの補助金は、地域や住宅の種類によって異なる条件や申請方法がありますので、詳細は各事業者や自治体にお問い合わせください。

ZEHに関する税制

住宅ローン減税では、ZEHやZEH+などの省エネ住宅を購入した場合は、一般的な住宅よりも借入限度額が高くなります。例えば、令和4年以降に建築確認を受けた新築住宅であれば、一般的な住宅は借入限度額が2,000万円ですが、ZEH水準省エネ住宅は4,000万円、認定長期優良住宅は5,000万円となります。固定資産税減免では、ZEHやZEH+などの省エネ住宅を含む認定長期優良住宅を新築した場合は、3年間固定資産税が半額になります。
変更される可能性があるこれらの補助金や税制は、毎年予算や法改正などで変更される可能性がありますので、最新の情報を確認することが重要です。

ZEHは環境にも経済にも優しい住まい方ですね。もし興味があれば、ぜひZEHの住宅を検討してみてください

まず読みたい人気コラム

新着コラム

○○とは?基礎知識まとめ
おすすめ会社を一発選定!1分アンケートはこちらをClick!