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2023
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ZEH住宅のデメリットは?メリットとあわせてわかりやすく

ZEH住宅のデメリットは?メリットとあわせてわかりやすく解説!

住宅の断熱や光熱費削減が気になりますか?そんなあなたはZEH住宅に注目しているかもしれません。家庭の健康と快適性、さらには長期的な光熱費の削減を考えると、ZEH住宅はとても魅力的です。しかし、「メリットだけでなく、デメリットもあるのでは?」と疑問を持つ人も多いでしょう。

この記事では、導入しなければいけない設備や計画上の注意点など、ZEH住宅のデメリットを詳しく解説します。もちろんメリットもたくさんあるので、どちらも正しく理解して判断することが重要です。省エネと健康、環境に配慮したZEH住宅に興味がある方はぜひ最後まで読んで理解を深めてください。

ZEH住宅とは

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、年間のエネルギー消費量を上回るエネルギーを自家発電する住宅です。省エネと環境に配慮した設計が特長で、太陽光発電や高性能断熱材を採用しています。冷暖房の効率が高められるため、毎月の光熱費の大幅な削減が可能です。

さらに、ZEH住宅には補助金制度や住宅ローンの優遇などがあります。これは環境に配慮した住宅の需要が高まる中で、CO2削減とエネルギー効率の向上を目指すための一環です。これらを活用すれば、ZEH住宅の建築に関わる建築費用を抑えられます。

ZEHの基準

ZEH住宅は以下の基準を満たす必要があります。

  • 強化外皮基準を満たす
  • 一次エネルギー消費量削減率20%以上
  • 再生可能エネルギー導入による一次エネルギー削減率100%以上

外皮とは、建物の壁、床、屋根など、屋内と屋外の境界となる部分を指します。外皮基準ではいかに熱が逃げにくいかが定められており、高性能の断熱材や高断熱サッシを使用して外皮の性能を高める必要があります。具体的には、外皮平均熱貫流率(UA値)が地域区分ごとに定められており、1・2地域で0.4以下、3地域で0.5以下、4〜7地域で0.6以下にする必要があります。UA値を下げてエネルギー効率の高い空間にするためには、高性能の断熱材や高断熱サッシを採用するなどの方法が有効です。

次に、一次エネルギー消費量についてです。一次エネルギーとは、家庭やビルで使われるエネルギーの元となる、石油、石炭、天然ガス、太陽エネルギー、風力などを指します。電気やガスなど最終的に消費されるエネルギーだけでなく、その生産や輸送に必要なエネルギーも含まれるため、環境負荷や省エネ性能をより正確に確かめられます。ZEH住宅は基準となる一般住宅に比べて20%以上の一次エネルギーを削減することが定められており、高効率な給湯器やエアコン、LED照明などの使用が有効です。

そのようにして削減したエネルギーを全て再生可能エネルギーでまかないます。太陽光発電などを導入して、年間を通して消費エネルギー以上にエネルギーを生み出すことがZEHの条件です。

ZEH住宅のデメリット

様々なメリットがあるZEHですが、以下のようなデメリットもあります。

  • 建築費用が高くなる
  • メンテナンス費用が高くなる
  • 太陽光の発電が不安定
  • 間取りや設備の計画に制限がかかる

ZEH住宅を計画する際はこれらのデメリットを理解し、計画を進めましょう。

建築費用が高くなる

ZEH住宅は、一般的な住宅と比較して建築費用が高くなります。ZEHの条件を満たすためには、性能をグレードアップしなければいけないことが多いからです。具体的には、高性能な断熱材、高断熱サッシ、高効率給湯器、太陽光発電システム、高効率エアコン、LED照明などの導入が考えられます。これらにかかる費用が、ZEH住宅を検討する際の大きなハードルとなることも少なくありません。補助金制度の活用を視野にいれ、資金計画を早めにたてることをおすすめします。

メンテナンス費用が高くなる

ZEH住宅は、メンテナンス費用の高さにも注意しましょう。高性能な設備は定期的なメンテナンスや故障や劣化による修理が必要だからです。これらの専門的な作業にはコストがかかり、長期的に見るとその負担は小さくありません。たとえば、太陽光発電は10年のメーカー保証がついている場合がほとんどですが、保証期間以降の修理は自己負担になってしまいます。長期的に考えて、設備の維持費も計算に入れておく必要があります。

太陽光の発電が不安定

ZEH住宅で用いられる太陽光発電のデメリットとして、発電量の不安定性があります。これは、天気や季節によって発電量が大きく変動するためです。一定のエネルギー供給が保証されるわけではなく、特に冬季や長期の雨天では発電量が小さくなることが予想されます。こういった理由で、太陽光発電の経済効果は長期で見る必要があり、ときには通常の供給エネルギーに頼る必要があることも頭にいれておきましょう。

間取りや設備の計画に制限がかかる

ZEH住宅には、間取りや設備の制限があります。エネルギー効率を最大限に高めるためには、窓の位置やサイズ、冷暖房効率などを考慮した計画が必要なためです。たとえば、吹き抜けがある家や窓が大きい家は一次エネルギー消費量削減率が低くなり、ZEH基準上不利になります。このようにして基準を意識していると自由度の高いデザインが難しくなり、個々のライフスタイルや好みに合わせた住まい作りに制約をもたらす可能性があります。

ZEH住宅のメリット

ZEにはたくさんのメリットがあります。

  • 光熱費が削減できる
  • 非常時でも電力を備えられる
  • 資産性が上がる
  • 快適に過ごせる
  • 環境にやさしい
  • 補助金がもらえる

初期費用がかかるというデメリットはあるものの、長期的に見ると経済的なメリットの他、安心して暮らせる魅力がたくさんあります。

光熱費が削減できる

ZEH住宅の魅力の一つは、光熱費が削減できる点です。自宅で発電を行い、効率的なエネルギー管理システムを用いることで、毎月の光熱費が大幅に減少します。特に高断熱・高気密の構造により冷暖房の効率が向上するため、エアコンの使用量をおさえられます。光熱費が高騰している昨今、電気やガスの使用料を抑えられるのはとても大きなメリットです。光熱費が削減できれば、初期投資を回収する大きな要素ともなりえます。

非常時でも電力を備えられる

ZEH住宅は、非常時に備えたエネルギー供給が可能です。ZEHに必要な太陽光発電や、熱電供給が可能なコージェネレーション給湯システムは、停電時も一定の電力供給ができるからです。さらに、太陽光発電と蓄電池を併用すると、より安定した自家発電、自家消費を実現できます。非常時の備えは安心感をもたらし、ZEH住宅により安心して住むことができるでしょう。

資産性が上がる

ZEH住宅は、資産価値が高くなるというメリットがあります。環境に配慮した構造や高度なエネルギー管理システムを持っているためです。これは、エネルギー効率や環境対応がより重視される社会で大きなアドバンテージとなり、将来的に売却や賃貸する際にも価値がつきやすいといえます。この資産性の向上は、初期投資以上の価値を長期的に提供できる要素となります。

快適に過ごせる

ZEH住宅の設計は、居住者の快適性も考慮しています。高断熱・高気密の性能により、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を実現します。特に室内の温度差が小さいという点は大きく、脱衣所やトイレでの身体への負担を大きく和らげられます。ZEH住宅は単なる省エネ住宅以上の価値を持ち、生活の質を高めてくれます。

環境にやさしい

ZEH住宅は、環境負荷を低減します。消費するエネルギーを抑制し、自家発電をすることでCO2排出量を抑えられるからです。環境省の資料によると、地球温暖化の原因となる温室効果ガスのうち、建築産業は全体のCO2排出量の1/3をしめていると言われています。(参考:環境省 地球温暖化防止対策推進条例に基づく建築物環境配慮制度導入の留意点等について)住宅からのCO2発生量もその大部分を占めるのは言うまでなく、それを抑えるためには環境配慮型の省エネ住宅を増やさなければいけません。ZEH住宅は、環境配慮においても高い評価を受けています。

補助金がもらえる

ZEH住宅は補助金が利用できます。これは国や地方自治体が、環境対策や省エネを推進する目的で提供しており、毎年一定額の募集が行われています。補助額は性能や条件により55万円〜112万円ほど。補助金を活用することで、建築費用の負担を軽減でき、より高品質な設備や素材を選ぶ余裕も生まれます。初期費用の高さが気になる方にとって、ZEH補助金は大きなメリットです。

ZEHの補助金制度について

ZEHの補助金制度について詳しく解説します。

補助金の概要

ZEHの補助金には以下の種類があります。

  • ZEH支援事業(ZEH)
  • ZEH支援事業(ZEH₊)
  • 次世代ZEH+実証事業
  • 次世代HEMS実証事業

以下にて詳しく解説します。

ZEH支援事業(ZEH)

対象となる住宅:ZEH、Nearly ZEH(ZEH条件のうち、再生可能エネルギーにおける一次エネルギー消費量削減率が75%以上100%未満の住宅。寒冷地、低日射地域、多雪地域などの特定の地域に限る)、ZEH Oriented(ZEH条件のうち、再生可能エネルギーを導入していない住宅。都市部狭小地の二階建以上及び多雪地域などの特定の地域、条件に限る。)

補助額:55万円/戸

ZEH支援事業(ZEH₊)

対象となる住宅:ZEH₊(ZEHよりもさらに厳しい一次エネルギー消費量削減率を満たし、外皮基準の強化や指定する省エネ設備を導入した住宅)、Nearly ZEH₊(ZEH₊条件のうち、再生可能エネルギーにおける一次エネルギー消費量削減率が75%以上100%未満の住宅。寒冷地、低日射地域、多雪地域などの特定の地域に限る)

補助額:100万円/戸

次世代ZEH+実証事業

対象となる住宅:ZEH₊(ZEHよりもさらに厳しい一次エネルギー消費量削減率を満たし、外皮基準の強化や指定する省エネ設備を導入した住宅)、Nearly ZEH₊(ZEH₊条件のうち、再生可能エネルギーにおける一次エネルギー消費量削減率が75%以上100%未満の住宅。寒冷地、低日射地域、多雪地域などの特定の地域に限る)

※蓄電システム、充放電システム、燃料電池、太陽熱利用温水システム、太陽光発電10kW以上、のいずれかの導入が必要。

補助額:100万円/戸

次世代HEMS実証事業

対象となる住宅:ZEH₊(ZEHよりもさらに厳しい一次エネルギー消費量削減率を満たし、外皮基準の強化や指定する省エネ設備を導入した住宅)、Nearly ZEH₊(ZEH₊条件のうち、再生可能エネルギーにおける一次エネルギー消費量削減率が75%以上100%未満の住宅。寒冷地、低日射地域、多雪地域などの特定の地域に限る)

※高度エネルギーシステムの選択かつ、蓄電システムまたは充放電システムの導入が必要。また、AI・IoT技術による最適制御を行うシステムの導入が必要。

補助額:112万円/戸

補助金申請の注意点

補助金申請には以下に注意する必要があります。

  • 募集期間がある
  • 募集枠がある
  • 工事完了期限がある
  • 必ずもらえるとは限らない

募集期間がある

補助金には募集期間があります。つまり、どれだけ高性能な省エネ住宅をつくっても、期間によっては補助金を申請することができません。ちなみに、2023年度に環境省が行う戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業は、一次募集が4月28日〜11月10日、二次募集は11月20〜2024年1月9日です。ZEH住宅を建てるときは事前に補助金の募集要項をチェックし、計画的に行いましょう。

募集枠がある

どのような補助金でも予算があり、募集枠が決まっているのが通常です。定員に達したり予算を使い切ったりした場合は、募集期間内であっても補助金の募集を打ち切ることもあります。つまり、なるべく早めに申し込みを行う方が補助金をもらえる可能性が上がります。募集期間終了間際の申し込みは要注意です。

工事完了期限がある

募集申請期間とは別に、工事完了の期限もあります。事業者は指定日までに工事を完了し、完了実績報告提出を行わなければいけません。申請が通り、予定通りの住宅をつくっても、期限内に実績報告まで完了しなければ補助金がもらえないので注意しましょう。あらかじめ建築会社と打ち合わせを行い、期限内に事業完了、実績報告ができるように計画しましょう。

まとめ

ZEH住宅は、環境にやさしいだけでなく、生活の質も高める多くのメリットがあります。光熱費の削減、非常時の安全性、資産価値の向上など、長期的に見ても大きな利点があります。補助金の利用も可能で、初期費用の負担を軽減できます。

しかし、デメリットも無視できません。建築費用が高い、メンテナンスにコストがかかる、太陽光発電の不安定性、設計に制限があるなど、慎重に検討すべきポイントが存在します。

このように、ZEH住宅はメリットとデメリットがはっきりしています。興味を持った方は、自身のライフスタイルや資金計画に合わせて、総合的に判断することが重要です。

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