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省エネ計算お役立ちコラム
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2023
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BEI値とは?一次エネルギー消費量の基準について解説!

BEI値とは?

BEIはBuilding Energy Index(ビルディング・エナジー・インデックス)の略称で、建物のエネルギー効率を数値で示す指標です。この数値は、設計された建物がどれだけエネルギーを効率良く使っているかを評価するためのもので、BEI値が低いと、その建物がエネルギー効率がいいという証明になります。具体的には、建物で消費される電気やガスなどの元となるエネルギー量を「設計一次エネルギー消費量」を、事前に定められた「基準一次エネルギー消費量」という値で割った結果がBEI値です。

基準一次エネルギー消費量は国の省エネ基準に基づいているため、BEI値が1.0以下なら、その建物は国の省エネ基準に適合しているということになります。住宅では0.7〜0.8以下がエネルギー効率に優れた省エネ住宅とされ、0.50以下のビルはZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)として最高レベルのエネルギー効率が認められます。

このBEI値は、BELSという第三者評価制度でも用いられ、建物全体のエネルギー性能や資産価値を判断する際の重要な要素となります。新築はもちろん、既存の建物を選ぶ際にも非常に役立つ情報となります。

一次エネルギー消費量

一次エネルギー消費量について、もう少し詳しく解説します。

エネルギーは原子力、化石燃料、水力、太陽光など、自然から得られる一次エネルギーと、これらを加工・変換して得られる電気やガスなどの二次エネルギーに分かれます。住宅で使われるのはこの二次エネルギーですが、省エネ計算では一次エネルギーが用いられます。その理由は、エネルギーの起源から最終的な使用までを一貫して評価できるからです。電気、ガスなどの二次エネルギーは、化石燃料や太陽光などの一次エネルギーから生成されますが、その過程でエネルギーロスが発生します。一次エネルギーで計算することで、そのようなエネルギーロスも含めて、建物や住宅の真のエネルギー効率を把握できるのです。

また、電気やガスが生まれるまでの間に使われるエネルギーは種類が多く、単位も異なります。一次エネルギー消費量に換算して総エネルギー消費量を評価することで、省エネ効果がよりわかりやすくなります。

省エネ基準について

現代社会では、エネルギー消費量の増加と環境問題が深刻化しています。特に住宅・建築物部門は、全エネルギー消費量の約3割を占める大きな分野です。そのため、住宅におけるエネルギー効率の向上は、地球環境の保護に直結する重要な課題です。

この課題に対応するため、1980年に初めて省エネ基準が制定されました。それ以降、複数回の改正が行われ、2013年には一次エネルギー消費量基準が導入されました。これにより、建物全体でのエネルギー効率が総合的に評価されるようになり、断熱性能以外にも設備の性能や使われるエネルギー全体を見ることで、より厳密なエネルギー効率の評価ができるようになっています。

現代は気候変動や環境破壊が進行しているため、炭素排出を抑制する方策が求められています。国もカーボンニュートラルや脱炭素社会に向けた取り組みを強化しており、省エネ基準もその一環です。2021年4月からは建物の省エネ基準説明義務化が開始され、300㎡未満の住宅を建築する建築士は、施主に対して省エネ基準についての説明が必要となりました。省エネ基準は今後も進化し、その重要性は増していくでしょう。

BELSとの関係性

BEI値を公正に明示してくれる制度がBELSです。2014年に導入されたBELSは、消費者や事業者が省エネ性の高い建築物を容易に識別できるように設計されました。この制度は、建物の一次エネルギー消費量と外皮性能を用いて、全体的なエネルギー効率を評価するものです。特に、BEI値に基づく星の数で評価レベルが明示されるため、建物の省エネ性能は一目でわかるようになっています。BELSの存在によって、持続可能な建築物選びがより簡単に、透明性を増して行えるようになっています。

BELSの評価基準について

BELSで表示される性能は以下の6つです。

  • BEI値に応じた星マーク
  • 基準からの削減率
  • 設計一次エネルギー消費量
  • 省エネ基準への適合可否
  • UA値またはηAC値
  • ZEHマーク

それぞれ詳しく解説します。

BEI値に応じた星マーク

BELS制度では、建物の省エネ性能を示すBEI値に応じて星マークで評価されます。この星マークは、一次エネルギー消費量と外皮性能を総合的に考慮した上でのレーティングです。BEI値によって星の数が定められ、性能が良いほど星の数が増える仕組みとなっています。

【★の数とBEI値の関係】

★★★★★:BEI≧0.8

★★★★:0.8>BEI≧0.85

★★★:0.85 < BEI ≦ 0.9

★★:0.9 < BEI ≦ 1.0

★:1.0 < BEI ≦ 1.1

基準からの削減率

建築物の省エネ性能を公正に評価し、基準からの削減率で表示します。この削減率は、基準値と比較した際の一次エネルギー消費量の減少幅を数値化したものです。これにより建築物のエネルギー効率がどれだけ優れているのかを瞬時に理解できます。

【基準化からの削減率の計算式】

基準からの削減率₌BEI値×100(単位:%)

設計一次エネルギー消費量

設計一次エネルギー消費量は、建築物のエネルギー効率を評価する指標です。この数値が低いほど効率が良いとされ、エアコンや照明などの消費エネルギーを総合して算出されます。設計段階でこの数値を知ることで改良の要否や改善箇所が明確になり、消費者はこの指標を用いてエネルギー効率の高い建築物を選べます。

省エネ基準への適合可否

BELSは建築物が国や地域が定める省エネ基準に適合しているかを明示します。適合している場合、それは建物がエネルギー効率に優れ、長期的なランニングコストの削減や環境への負荷軽減が期待できるという意味になります。

消費者が建築物を購入または賃貸する際、このBELSによる「省エネ基準への適合可否」を参考にすることで、エネルギー効率の高い建物を選択できます。また、ビルオーナーや不動産業者にとっても、省エネ基準への適合は販売や賃貸において競争力を高められます。

UA値またはηAC値

BELSは「UA値」や「ηAC値」が表示されます。UA値は建築物の外皮性能、特に断熱性能を測る値で、値が低いほど断熱性が高くなります。一方、ηAC値は空調機器の効率を示すもので、この値が高いほど空調の効率が良いと評価されます。

これらの値はエネルギー消費に直結する要素で、建物がどれだけ断熱性能を高められているかがわかります。エネルギー効率だけでなく、室内の快適性も大きく左右する指標です。

ZEHマーク

BELSはZEHマークの表示が可能です。ZEHは、一次消費エネルギー消費量削減率が100%以上の住宅を指すため、ほぼゼロエネルギーで運用できる住宅を表します。

ZEHマークが表示された住宅は、光熱費削減や、災害時の対処、環境への負荷軽減が期待できるポイントです。また、建築主や不動産業者にとっても、高い省エネ性能は販売や賃貸の大きなアピールポイントとなるでしょう。

BELS導入のメリット

BELSを導入することで以下のようなメリットがあります。

  • 省エネ性能が一目でわかる
  • 建築の資産性が上がる
  • 快適な室内環境がつくれる
  • 補助金がもらえる

これらは環境に優しい省エネ住宅をつくることで得られるものです。以下にて詳しく解説します。

省エネ性能が一目でわかる

BELSは、省エネ性能を一目で理解できます。星マークやBEI値、ZEHマークなどを見れば他の建物との比較検討も容易にできます。不動産業者や建築主にとっても、BELS認証は信頼性と透明性を高めるため、販売促進に直結します。

環境への配慮が求められる現代において、エネルギー効率の高い建築物は価値が上がっています。BELSはその価値を形にし、多くの人に知ってもらうきっかけになります。

建築の資産性が上がる

BELSを導入することにより、建築の資産性は向上します。BELSが示すエネルギー性能は、不動産の省エネ性能を証明する指標となるからです。住宅に求められる性能のうち、省エネ性やエネルギー効率は、光熱費や快適性につながります。ランニングコスト削減は長期的なリターンが見込めるため、BELS評価が高い物件は売買や賃貸市場において高い価格がつく可能性があります。

さらに、環境への配慮が社会全体で高まる中、BELSは企業のCSR活動やブランドイメージ向上にもつながります。短期的な利益だけでなく、長期にわたる持続可能性をもたらすBELSは、様々な面から建築の資産性を高めます。

快適な室内環境がつくれる

BELSを導入することで、快適な室内環境を手に入れられます。BELSの評価基準には、断熱性や遮熱性、エネルギー効率などが含まれているからです。これらは、室温の安定に直接影響し、温度差の少ない快適な居住空間を生み出します。

高いBELS評価を得るためには、エネルギー効率の良い設備を選ぶだけでなく、建物自体の性能も向上させる必要があります。これは、暑い夏や寒い冬でも快適な室温を保てる効果があります。人々が快適に過ごせる環境は、生産性や健康にも良い影響を与え、長期的にみてもその価値は継続します。

補助金がもらえる

BELSを導入すると、補助金を受けるチャンスが増えます。国をはじめ、多くの地域や団体は、エネルギー効率の高い建築を推進するための補助金や優遇措置を設けており、BELS評価が補助金の申請要件に有利にはたらくことも数多くあります。さらに、補助金を受けること自体が、その建築物の品質や性能が認められた証となり、信頼性やブランド価値を高める要素ともなります。要するに、BELSの導入は資金面でのサポートが受けられる可能性が高く、多角的な価値を提供します。

まとめ

BEI値は建築物のエネルギー効率を示す重要な指標です。この値で一次エネルギー消費量がどれだけ効率的かがわかるため、建物のエネルギー性能が一目でわかります。BELSでBEI値を表示すれば、今まで明確でなかった建物のエネルギー効率がわかるため、省エネへの取り組みには欠かせません。BEI値を理解し、一次エネルギー消費量の基準に照らし合わせることで、持続可能で効率的な建築物を設計、運用することができます。

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