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省エネ計算お役立ちコラム
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2023
11
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「非住宅のモデル建物法」とはどんなもの? 標準法との違い

省エネ計算方法のひとつとして、「モデル建物法」があります。これは建築物におけるエネルギー消費性能を計算するための計算方式のうちのひとつです。
ここでは「非住宅のモデル建物法」を取り上げて、
・そもそもモデル建物法とは何か
・省エネ計算法の3つの種類について
・省エネ計算法の書類の届け方
について解説していきます。


「モデル建物法」は、省エネ計算法の一種です

モデル建物法は、省エネ計算法のうちの一種です。そこでここでは、モデル建物法について取り上げる前に、まずは「省エネ計算法とは何か」について解説していきます。

省エネ計算法は、「省エネ計算方法」「省エネ計算」などとも略されるものです。その建造物のエネルギー性能を算出するために作られた計算式であり、地球環境に配慮して持続可能な社会を作る目的で立案されたものです。
その起源は1980年にまでさかのぼることができ、当時は「省エネルギー基準」と呼ばれていました。2021年には建築士から建築主への説明が義務化され、2025年には省エネ基準適合が(原則として)すべての建物に義務付けられることになりました。


さて、この「省エネ計算法」ですが、2021年以前は、「大規模な非住宅建築物(2000平方メートル以上)のみを得的建築物として、適合を義務付ける」としていました。対して、中規模の非住宅建築物(300平方メートル以上2000平方メートル未満)の非住宅建築物や、住宅(2000平方メートルを超える場合を含む)は届出義務として扱われていました。
しかし2021年以降は、「300平方メートル以上の非住宅建築物に関しては、適合を義務付ける」と改められました。ちなみにここでは大きくは取り上げませんが、住宅に関しては「審査手続きを合理化できるようにする」という変更が行われました。なお住宅については、広さがどのようなものであろうとも、2023年の現在では適合義務は課せられていません。

省エネ計算に関する届け出をしないでいると、着工することができません。また「届け出をしていないにも関わらずあるいは虚偽の報告を行って着工にいたった」と判断された場合は、50万円以下の罰則が与えられます。また、行政庁からの命令や指示を受けたにも関わらずそれを無視した場合は、さらに悪質性が高いと判断されて、100万円以下の罰則が科せられます。

省エネ計算の計算方法は、大きく分けて3つです。次の項目ではそれについて解説していきます。


省エネ計算法、3つの計算法について

省エネ計算法の3つの計算法は、以下の通りです。
・標準入力法
・モデル建物法
・小規模建物法
それぞれその特徴について解説していきます。

標準入力法

標準建物法は、3つの省エネ計算法のなかでもっとも細かい計算法です。建物のデータを部屋ごとに打ち込んで正確な省エネ性能を導き出すものであり、もっとも詳細なデータを得られます。
この標準入力法は、当然のことながら下記の2つよりも計算が複雑で、時間がかかります。そのため、この方法は実際にはほとんど利用されていません。しかし、建築物エネルギー性能表示制度(BELS)で最高の評価を得ようとするのならば、この標準入力法を用いるとよいでしょう。ちなみにBELSで高評価を得た場合、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギービル。なお住宅の場合はZEHネット・ゼロ・エネルギーハウスと呼ばれる。太陽光発電などで得られるエネルギーが、その建築物で使用されるエネルギーの総量を超えられる建築物のこと)を名乗ることができるため、ユーザーへのアピールポイントにすることができたり、「地球環境に配慮した企業」という評価を得られやすくなったりします。


モデル建物法

「モデル建物法」は、省エネ計算法のなかでもっとも頻繁に使われているものです。省エネ計算を行う建築物の約9割が、このモデル建物法を用いています。そのため、上記で挙げた「BELSで最高評価を得たい」などの場合以外は、こちらのモデル建物法を使うことが推奨されます(※ただし、モデル建物法で基準値に達しなかった場合は、標準入力法で計算し直す必要がありうます)。

モデル建物法は、「部屋ごと」ではなく、「建物の用途に合わせて計算する」という方式をとっているため、標準入力法よりも短い期間で算出できるというメリットがあります。


小規模モデル建物法

最後に紹介する「小規模モデル建物法」は、少し特殊なものです。

上でも述べたように、省エネ計算への適合義務が課せられているのは、「300平方メートル以上の非住宅建築物」です。つまり、「300平方メートル以下の小規模な非住宅建築物」の場合は、省エネ計算への適合は義務付けられてはいません。
ただ、今後の法改正によって小規模な非住宅建築物に対しても省エネ計算への適合義務が課せられる可能性はありますし、現在でも業者は「説明義務」は負っています。そのため、小規模モデル建物法などを利用して、省エネ性能を明らかにしておくとよりよいでしょう。

小規模モデル建物法は、モデル建物法をさらに簡略化したものです。これの場合は、建物用途ごとに計算することはもちろん、ほかの2つでは「外皮面積は各部位で計算する」としているのに対して「小規模モデル建物法では床面積に従って計算する」というやり方を取っているという違いなどがあります。


これらの省エネ計算方法は、どれが良い・悪いといえるものではありません。
ただ、「時間と手間とお金をかけても構わないから、ZEBを取得したい」というのであれば標準入力法が、「300平方メートル以下の建物だが省エネ基準をクリアしているかしりたい」という場合は小規模モデル建物法が、それ以外の場合は汎用性の高いモデル建物法を選ぶとよいでしょう。


省エネ計算法の届け方

最後に、「それでは、省エネ計算法を完了した場合に関するよくある質問とその答え」について解説していきます。

省エネ計算法の届け先はどこ?

省エネ計算法の届け出は、所管行政庁に出します。市あるいは町に置かれているので、住所を含めて確認しておくとよいでしょう。ちなみにその数は県によって違いますが、すべての件に1つ以上の特定行政庁が存在します。


省エネ計算法はいつまでに出す?

省エネ計算法は、着工する21日前までに提出する必要があります。
「完成してから届け出るもの」ではない点には注意が必要です。
また、上でも述べたように、省エネ計算法を出してそれが認められない限りは、法律上はその建築物を施工することはできません。


届け出にお金はかかる?

省エネ計算法の届け出自体には、お金はかかりません。しかしこれを作成するためには、当然に人手や時間もかかります。そのため、「届け出自体にはお金がかからないが、それを作成するためには人件費がかかる」と考えておくのが正しい認識です。


もっとも複雑な標準入力法はもちろん、一番多く使われているモデル建物法も、もっとも簡素な小規模モデル建物法を用いてのものであってさえ、省エネ計算法を行うのは非常に大変です。時間もかかりますし、内容も入り組んでいて、理解するまでに時間がかかるケースも多いといえます。そのため、省エネ計算法は専門家に一任してしまった方が楽だといえます。現在はサポート会社も複数あるため、自社と相性の良いところを選び分けられるようになっています。
「自社と相性の良いサポート会社を探している」という場合は、こちらから比較してお選びください▶https://www.shoenekeisan-kankyoninsho.com/

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