ZEHはエネルギー消費を抑えつつ、補助金がもらえるとてもお得な制度。確実に補助金をもらって、建築費用にあてたいですよね。
しかし、ZEH補助金を理解するのは簡単ではありません。制度や申請方法など、補助金の概要は複雑でわかりにくいのが現状です。
そこでこの記事では、ZEH住宅とその補助金について詳しく解説します。環境に優しく、経済的なメリットもあるZEHをお得に建築したい方は、ぜひ最後まで読み進めてください。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、エネルギー消費量を一定値におさえ、それ以上のエネルギーを作り出す住宅のことを指します。これは、高断熱・高気密性能を持つ建築物に太陽光発電システム等の再生可能エネルギーシステムを設けることで実現されます。
日本政府は、2016年からZEHの普及を宣言し、その目標達成率を公表する企業や事務所を「ZEHビルダー」として登録しています。2021年からは、ZEH供給率が50%以上のビルダーに対しては75%以上、50%未満の場合は50%以上を2025年度の目標として公表するよう制度を改正しました。
現在、全国で4,722社がZEHビルダーとして登録しています。2030年までに新築住宅の省エネ性能をZEH(ゼロエネルギー住宅)基準まで高め、新築一戸建ての60%に太陽光発電を設置することを目指しています。
2023年度のZEH補助金は以下の4つに分かれています。
各カテゴリーにはそれぞれ異なる補助金の金額、対象者、申請期間が定められており、自分の建築予定の住宅やライフスタイルに合ったカテゴリーを選択できます。これらの補助金の特徴を理解し、どの補助金を活用できるかを考えましょう。
ZEH補助金の詳細は以下の通りです。
ZEH(ゼロエネルギー住宅)の基準には、以下の三つの重要な条件があります。まず、一次エネルギー消費量の削減率は20%以上と定められています。これは、エネルギー効率の良い設備を用いて、エネルギーの消費を可能な限り抑えることを求めています。
次に、再生可能エネルギーによる一次エネルギー消費量の削減率は100%以上となっています。これは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを利用して、エネルギーの自給自足を目指す目標です。
最後に、外皮平均熱貫流率(UA値)は特定の基準値以下でなければならず、これは住宅の断熱性能を示すものです。これらの基準を満たすことで、ZEHと認定されます。
ZEH+(ゼロエネルギーハウスプラス)の基準は、さらにエネルギー効率の高い住宅を目指しています。ZEHの要件に加えて、一次エネルギー消費量削減率はZEHよりも高い25%以上でなければいけません。さらに、以下の3つの追加要件のうち少なくとも2つを満たすことも必要です。
ZEH+に必要な追加要件
さらに、ZEH+では補助金が加算される特定の設備があります。
次世代ZEH+もZEH+と同様に、ZEH要件に加えて一次エネルギー消費量削減率25%以上と、3つの追加要件のうち2つ以上を満たす必要があります。次世代ZEH+はさらに、蓄電システム、V2H充電設備(充放電設備)、燃料電池、太陽熱利用温水システム、太陽光発電システム10kW以上の5項目のうち1つを導入する必要があります。
また、補助金加算項目は以下の通りです。
次世代ホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)の補助金を受けるためには、ZEH+の基準を満たすことに加えて、高度なエネルギーマネジメントを選択する必要があります。これには、蓄電システムまたはV2H(Vehicle to Home)充電設備といった充放電設備の導入が含まれます。
さらに、AI(人工知能)やIoT(インターネットオブシングス)技術などを活用して最適制御を行う仕組みを備えることも必要とされます。これにより、エネルギーの使用効率が最大化され、エネルギー消費を最小限に抑えることができます。
また、オプションとして、燃料電池や太陽熱利用温水システムの設備を導入することも可能です。これらの設備はエネルギーの効率的な利用をサポートし、さらに高度なエネルギーマネジメントを可能にします。
ZEH補助金を適切に申請し活用するためには、以下を把握することが重要です。
これらを理解し適用することで、補助金を得られる確率を上げられます。建築計画の目安のスケジュールもたてやすくなるでしょう。
申請の一般的な流れは以下の通りです。
ZEH補助金の申請スケジュールを確認しましょう。申請締切日を過ぎても申請は受け付けられないため、基準を満たしていても補助金をもらうことはできません。また、中間報告、事業完了日も期限があるため、工事の日程も確認する必要があります。
以下は「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH) 化等支援事業」のスケジュール例です。
ZEH補助金を活用するとともに、以下の制度も併用することで、さらなる経済的メリットを享受することが可能です。
これらの制度を併用することで、ZEH補助金だけではなく、より広範囲な補助を受けることができ、エコロジーと経済の双方で大きなメリットを得ることが可能となります。
こどもエコすまい支援事業は、子育て家庭や若い夫婦がZEHレベルの高い省エネ性能を持つ新築住宅を購入したり、既存の住宅を省エネ改修したりする際に補助金を提供することで、2050年のカーボンニュートラルを目指しています。新築住宅の場合は一律で100万円、リフォームの場合は30万から60万円の補助が受けられます。対象者は、子育て中の家庭や39歳以下の若い夫婦です。
参考:国土交通省 こどもエコすまい支援事業について
地域型住宅グリーン化事業は、地元の木造住宅関連事業者が協力して、省エネルギー性能と耐久性に優れ、さらに三世代同居にも対応可能な住宅の建設を推進する事業です。地元の工務店で対象となる住宅を建設した際に補助金が受けられます。この事業では地域の中小工務店が連携して良質な木造住宅を建設し、さらに長期優良住宅の整備や三世代同居対応工事にも支援を提供します。
参考:一般社団法人木を活かす建築推進協議会 地域の住まいづくりのお手伝い地
住宅ローン減税は自宅購入や改築のローン利子を一部税金から控除する制度で、特にZEH住宅購入時の大きな初期投資を軽減するメリットがあります。2022年の改正で控除額と期間が変わり、控除率1.0%、期間10年間(特例措置13年間)だった制度が、新規控除対象者は控除率0.7%で、期間は13年間(既存住宅や増改築は10年間)となりました。ただし、具体的な制度内容は税務専門家に相談することが推奨されます。
参考:国税庁 税についてしらべる 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)
ZEH補助金を受ける前には以下のポイントに注意する必要があります。
これらの問題を理解し、対策を講じることで、ZEH補助金の恩恵を受けつつ、デメリットを最小限に抑えることができます。
ZEH住宅の建築には、一般的な住宅よりも高いコストがかかる場合があります。これは、高い断熱性能やエネルギー消費量を抑える設備を導入するためです。そのため、補助金を受ける前には、建築予算を慎重に計算し、長期的な視点での経済性を確認することが重要です。具体的には、住宅ローンの借入金額と借り入れ年数などを検討し、月々の支払いに無理が生じないかどうかの検討をする必要があります。
ZEH住宅の設計には、一定の制約が存在します。これは、エネルギー効率を最大限に高めるために、間仕切りや窓の位置、仕様設備などを最適化する必要があるからです。したがって、あまりに窓が大きかったり、空間が広すぎたりするとZEHに適合しないこともあります。設計段階で建築会社と十分にコミュニケーションを取り、住宅の理想像とZEH住宅の制約を考慮して計画を進める必要があります。
ZEH住宅では、高性能な設備を使用しているため、一般的な住宅よりもメンテナンスに手間と費用がかかる可能性があります。特に、太陽光発電システムやエネルギー管理システムなど、特殊な設備は定期的に専門の業者によるチェックやメンテナンスが必要です。これらのメンテナンス費用は、長期的にかかる経費として考えなければいけません。
ZEH補助金を活用すれば、快適で環境に優しく、光熱費が少なくて済む省エネ住宅を建てやすくなります。それは、持続可能な未来へと進む一助になるため、新築をお考えの方にはぜひともチャレンジしてほしい制度です。
しかし、対象となる住宅や補助金の概要を理解しておかなければ、家づくりに後悔が残ってしまう可能性があります。補助金を最大限に活用するためには、期限や注意点を抑える必要があります。
ZEH補助金をもらって初期費用を抑え、光熱費が少ないZEH住宅で快適に過ごしましょう。