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2023
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2022年改訂! 長期優良住宅の新基準と旧基準の違い

「長期優良住宅」とは何か~その歴史と成り立ち

「長期優良住宅」とは、「長期間にわたって使い続けられるようにするための措置をとって作られた住宅」のことを指す言葉です。これを受けることで住宅ローンや不動産取得税、登録免許税や固定資産税の面で優遇措置が受けられます。

この制度自体の成立は意外と古く、2009年の6月には新築物件に対しての認定制度が始まり、その約7年後の2016年には増築および改築をする既存住宅も対象に含むとしてその制度を整備しています。

このようにして成り立った長期優良住宅ですが、地球環境は日々移り変わっていっています。より厳しく、より現在の状況にあったようにと考えられて、2022年にはこの長期優良住宅制度にさらなる改訂が加えられました。今回取り上げるのは、この2023年のものです。

長期優良住宅の評価基準を知る

長期優良住宅は、すでに述べたように、「長く住み続けられる家であるために、さまざまな措置を講じた家(とそれを認定する制度)」のことです。そのため、「長く住み続けられる家であるために必要な要素」がその判断基準となります。

1.劣化に対する対策……これは、「その建物がどれほど劣化に強いか」を表す指標です。毛用いる建築素材に施されている劣化対策を見るもので、3段階のうち最上級の3を取ることが必要不可欠です。またこれに加えて、家の構造の種類に応じた対策も求められます。

2.地震に対する強さ……地震大国である日本では、地震への対策が求められます。ただ、このときにチェックされる耐震等級は合計で3つあるものの、認定基準はそれほど高くありません。耐震等級が1であっても、一定の基準を守っていれば問題ないと判断されます。

3.省エネルギー性……エネルギーを節約できるようにするための、断熱性能が高いレベルにあるかどうかを見るための指標です。

4.維持管理・更新が簡単にできるかどうか…建物本体よりもその寿命が短い配管などを、簡単に点検や清掃、補修などができるかもチェックされます。これを、「維持管理・更新の容易性」といいます。

5.間取りなどを簡単に変えられるか…家族構成や人の健康状態は、時と共に変わります。そのときに、手間をかけずに間取りを変えられる建物であるかどうかが見られます。

6.バリアフリー性……足腰が弱くなっていき車椅子などを必要とした場合に、バリアフリー改修に対応できる作りかどうかをチェックする項目です。

7.居住環境…意外に思われるかもしれませんが、長期優良住宅の認定は「建物そのもの」だけでなく、「周りの環境」も関わってきます。景観条例などがある地域に建てる場合はそれに配慮しているかが確認されます。

8.住戸面積……人が快適に過ごせるだけの居住空間を持っているかどうかを見られます。一戸建ての場合は75平米、マンションなどの共同住宅は40平米以上なければなりません。

9.維持や保全のための計画が作られているか……どのような建物も、住み続けていれば必ず痛みます。そのため、来たるべき将来のために、きちんとした点検や補修の計画を練る必要があります。この「維持・保全のための計画が策定されているか否か」が長期優良住宅認定では確認されます。

10.災害に対する配慮ができているかどうか……突然襲い掛かってくる災害に対して、その被害を防止あるいは軽減できる建物であるかもまた、長期優良住宅認定の判断基準です。

この10点をチェックし、基準となる水準を満たしているかどうかで、長期優良住宅認定を受けられるかどうかが決まります。

長期優良住宅の新基準と変更点

ここからは、2022年の改訂を受けて長期優良住宅の基準がどのように変化したかを解説していきます。

1.ZEH水準以上の級が設定された

2022年の改訂により、長期優良住宅にはZEH水準以上の級が設定されました。

ZHE住宅とは、「太陽光発電装置などを使って、家で作るエネルギーが家で使うエネルギーと等しくなる(=消費エネルギーを。自宅で作るエネルギーで賄える)ようにした家」のことです。

長期優良住宅とZEHは両方とも環境に配慮したものですが、長期優良住宅は「長期的に住み続けられる家」を目的としているため、「エネルギー」にのみ注目したZEHとは本質的にその性質が異なります。

もちろん長期優良住宅にもエネルギーの消費に関する判断基準は存在していましたが、改定によりそれがさらに厳しくなりました。

今までは断熱等性能等級(住居において、温度感覚を左右する環境を評価するために作られた基準)のみで長期優良住宅は判断されていましたが、これに加えて、一次エネルギー消費量等級(ごく簡単にまとめていうのであれば、その住宅が1年間に使用するエネルギー量)も見られるようになったのです。

改訂前の長期優良住宅は、断熱等性能等級のみが問われ、一次エネルギー消費量等級は問われませんでした。

逆にZEH住宅は以前から、断熱等性能等級と一次エネルギー消費量等級の両方を問われていました。

このため長期優良住宅は、新しい基準が適用されたわけです。

さらにそれのみならず、基準値も厳しくなりました。

かつては、「長期優良住宅は断熱等性能等級は4であればよい」「ZEH住宅の場合も、断熱等性能等級は4で、一次エネルギー消費等級は5であればよい」とされていました。しかしこれがそれぞれ5と6に定め直されたのです。

つまり、ZEHは同じ判断項目ではあるものの数字が厳しくなり、長期優良住宅は新しい診断項目が加わったうえに数字が厳しくなったのです。

2.増改築をしなくても認定が受けられるようになった

長期優良住宅に関係する法律の改訂は、「対象となる建物」への基準については緩やかになりました。

今までは、既存の建物はたとえ長期優良住宅のラインをクリアしていたとしても、増築などの建築工事を受けない限りは長期優良住宅の認定を得ることができませんでした。

しかし2022年の法律の見直しによって、「たとえ増改築を新たに行わなかったとしても、現状ですでに長期優良住宅の基準をクリアしているのであれば、長期優良住宅として認定する」とされたのです。

「長期優良住宅の制度以前から環境問題に興味があったので、現在の長期優良住宅に相応する住宅を建てていた」という人にとっては追い風となる話です。

3.認定基準が合理化された

現在でもその認定基準がやや分かりにくい「長期優良住宅制度」ですが、これを少しでも合理化しようとする動きが出てきました。

そのすべてをここで解説するのは難しいのですが、配管部分の設置個所の見直しや、新たな計算式の導入などが進められるようになりました。

これによって、長期優良住宅の認定の基準がより分かりやすく、合理化されたのです。

長期優良住宅に関係する法律はかなり難解であり、また改正なども経ていくものでもあります。その計算を自社あるいは個人で行おうとすると非常に手間がかかるため、これらは専門家に一任してしまうことが推奨されます。▶https://www.shoenekeisan-kankyoninsho.com/

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