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2023
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住宅性能評価の等級一覧。内容や評価基準をわかりやすく解説

住宅性能評価とは

住宅性能評価は、住宅の品質を客観的に評価する制度です。日本住宅性能表示基準に基づき、指定を受けた第三者機関が評価を行うため信頼性があります。評価は設計段階と建設段階の2つのフェーズで行われます。性能評価を取得すると住宅性能評価書が交付され、この書類は住宅が一定の性能を満たしているという公的な証明になります。

等級について

住宅性能は、耐震性能や耐火性能、省エネ性能などの10分野にわけて評価されます。その中でもさらに項目は細分化され、評価対象事項は34種類です。各分野での性能は等級や数値で表示されるため、住宅の性能を一目で比較・判断できます。

第三者検査機関について

第三者検査機関は、国土交通大臣が登録した機関であり、公平な立場で住宅の性能を評価します。評価は日本住宅性能表示基準に則って行われ、違法建築など基準に達していない住宅には評価書は交付されません。

住宅性能評価のメリット

住宅性能評価には以下のようなメリットがあります。

  • 住宅ローンで優遇される
  • 長期優良住宅認定に申請できる
  • 建物の資産価値を高められる
  • 建物の性能を確かめられる
  • 紛争処理対応を受けられる

これらの利点により、住宅購入とその後の生活はより安心なものになります。それぞれ以下にて詳しく解説します。

住宅ローンで優遇される

住宅性能評価を取得することで住宅ローンの優遇が受けられる場合があります。金利や借入限度額の優遇のほか、住宅ローン控除率や控除期間も拡大するのも魅力です。たとえば、住宅金融支援機構のフラット35は、省エネ性、耐震性、バリアフリー性、耐久性で一定の基準を満たせば特定プランの利用が可能となり、金利が当初10年間または5年間引き下げられます。さらに、再生可能エネルギーを導入してZEH水準を満たせば、金利引き下げ条件がより良くなります。このように、住宅性能評価を受けることで、住宅購入の際の金利条件が大幅に改善されるケースが多く、住宅ローンを使用して住宅購入をする人にとって非常に有益です。

長期優良住宅認定に申請できる

性能評価を取得すると長期優良住宅に申請ができます。長期優良住宅は、長期間良好な状態で使用するための基準が定められている住宅です。新築の場合は2009年から、既存住宅の増築・改築は2016年から認定制度があり、全国各地で普及拡大が進んでいます。ちなみに、長期優良住宅を取得すると以下のようなメリットがあります。

  • 長持ちする良質な住宅という国の認定を受けられる
  • 住宅ローン控除の最大控除額が増える
  • 固定資産税の優遇措置がある
  • 住宅ローンの金利優遇が受けられる
  • その他、所得税、登録免許税、不動産取得税などで税制優遇が受けられる

長期優良住宅の条件として、耐震性、省エネルギー性、容易な維持管理性、劣化対策などの確保が必要で、性能評価を受けることでこれらの性能を証明できます。性能評価+長期優良住宅で、良質で安心な住宅をお得に購入できます。

建物の資産価値を高められる

住宅性能評価は、建物の資産価値を高められます。性能評価は建物の耐震性や環境性能、劣化状況などを専門的に評価できるからです。評価結果が良好であれば、購入者や借り手に対してその品質を明示でき、販売価格や賃料を適正に設定しやすくなります。さらに、性能がしっかりと評価されていることで、所有者自身も建物に対する信頼感が増し、長期的に満足度が高まります。

建物の性能を確かめられる

住宅性能評価は、建物の性能を素早く、正確に確かめられます。耐震性や断熱性、環境性能など、10分野34項目の等級が数値や評価項目で明示されるからです。これにより、建物の所有者や購入を検討している人は、建物の強みと弱みを理解し、必要な改修やメンテナンスの計画が立てやすくなります。今までは専門家しかわからなかったような、わかりにくい部分や見えない部分が明確になることが性能評価の大きなメリットです。

紛争処理対応を受けられる

住宅性能評価を利用すればスムーズな紛争処理対応が受けられます。その理由は、建設性能評価評価書が交付された住宅は、指定住宅紛争処理機関に紛争処理を申請できるからです。各地の弁護士会に設置されているこの機関に申請をすることで、裁判を経ずに問題解決を図れます。手数料は一件当たり1万円で、処理内容は評価書だけでなく、請負契約や売買契約に関する全ての問題にも対応します。住宅購入におけるトラブルが心配な方は、円滑かつ迅速な紛争解決が利用できる性能評価の利用をおすすめします。

住宅性能評価の項目と等級一覧

住宅性能評価の項目と等級について詳しく解説します。10分野のうち、1.構造、3.劣化、4.維持管理、5.省エネの4項目は必須項目です。その他の6分野は任意で評価を申請できます。

  1. 構造の安定に関すること

住宅が受ける地震、暴風、積雪などの外力に対する構造躯体の強さを評価します。躯体を支える基礎や地盤に関する情報も表示します。

構造の安定に関することの性能表示事項

  • 1-1 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)【必須】:等級1〜3。地震に対する構造の強さ、崩壊しにくさ。
  • 1-2 耐震等級(構造躯体の損傷防止):等級1〜3。地震に対する構造の損傷の生じにくさ。
  • 1-3 その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)【必須】:免震建築物であるか否か
  • 1-4 耐風等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止):等級1〜2。暴風に対する構造の強さ、損傷の生じにくさ。
  • 1-5 耐積雪等級(構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止):等級1〜2。屋根の積雪に対する構造の強さ、損傷の生じにくさ。
  • 1-6 地盤又は杭の許容支持力等及びその設定方法【必須】:地盤や杭の耐力、地盤に見込んでいる耐力の根拠。
  • 1-7 基礎の構造方法及び形式等【必須】:直接基礎の構造・形式、杭基礎の杭種・杭径・杭長
  1. 火災時の安全に関すること

火災時は躯体が崩壊しないこと、避難が安全に行えることなどが重要になります。人命救助と財産の防衛を第一に、避難や延焼防止などについても評価します。

火災時の安全に関することの性能表示事項

  • 2-1 感知警報装置設置等級(自住戸火災時):等級1〜4。評価対象住戸の同一階、または直下階における火災の覚知のしやすさ
  • 2-2 感知警報装置設置等級(他住戸等火災時):等級1〜4。評価対象住戸の同一階、または直下階の他住戸における火災の覚知のしやすさを表示
  • 2-3 避難安全対策(他住戸等火災時・共用廊下):等級1〜3。火災時避難のための共用廊下の対策を表示
  • 2-4 脱出対策(火災時):通常の歩行経路が使用できない場合の、緊急脱出対策を表示
  • 2-5 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部)):等級1〜3。延焼のおそれのある部分にある開口部が、火災時に火炎を遮る時間の長さを表示
  • 2-6 耐火等級(延焼のおそれのある部分(開口部以外)):等級1〜4。延焼のおそれのある部分にある外壁等(開口部以外)が火災時に火熱を遮る時間の長さを表示
  • 2-7 耐火等級(界壁及び界床):等級1〜4。住戸間の界壁及び界床が火災時に火熱を遮る時間の長さを表示
  1. 劣化の軽減に関すること

住宅の材料は時間と共に劣化し、修繕や建て替えが必要になることがあります。この項目は、特に構造躯体に焦点を当て、劣化を遅らせるための対策がどれだけ施されているかを示します。

劣化の軽減に関することの性能表示事項

  • 3-1 劣化対策等級(構造躯体等)【必須】:等級1〜3。構造躯体等の大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するため必要な対策の程度を等級で表示
  1. 維持管理・更新への配慮に関すること

給排水管やガス管は隠されがちで、漏水などのトラブル発生時の対応は困難です。この項目は、そのような部位の点検や補修の容易性、特に共同住宅での更新工事のしやすさを評価しています。

維持管理・更新への配慮に関することの性能表示事項

  • 4-1 維持管理対策等級(専用配管)【必須】:等級1〜3。給排水管やガス管の清掃・点検・補修を容易に行うための対策を等級で表示
  • 4-2 維持管理対策等級(共用配管)【必須】:等級1〜3。共用の給排水管やガス管の清掃・点検・補修を容易に行うための対策を等級で表示
  • 4-3 更新対策(共用排水管)【必須】:等級1〜3。共用排水管の更新を容易に行うための対策を2項目で表示
  • 4-4 更新対策(住戸専用部):住戸専用部の間取りの変更を容易に行うための対策を2項目で表示
  1. 温熱環境・エネルギー消費量に関すること

適切な室温制御には断熱措置が重要です。この項目では、建物の「外皮の断熱性能」と「一次エネルギー消費量」を総合的に評価しています。

温熱環境・エネルギー消費量に関することの性能表示事項

  • 5-1 断熱等性能等級【必須】:等級1〜7。外壁、窓等の断熱性を等級で表示
  • 5-2 一次エネルギー消費量等級【必須】:等級1〜6。一次エネルギー消費量削減のための対策を等級で表示

  1. 空気環境に関すること

住宅室内の空気には健康へ影響する化学物質が含まれる場合があります。この項目では、これらの物質濃度を低減するための基本的な対策と換気方法を評価しています。

空気環境に関することの性能表示事項

  • 6-1 ホルムアルデヒド対策(内装及び天井裏等):等級1〜3。内装の仕上げや下地材から発散するホルムアルデヒドを少なくする対策を等級で表示
  • 6-2 換気対策:室内の汚染物質や湿気を除去するための換気対策を2項目で表示
  • 6-3 室内空気中の化学物質の濃度等:空気中の化学物質の濃度や測定方法を表示
  1. 光・視環境に関すること

住宅の開口部は、視覚的な負担を減らす明るさと心理的なやすらぎを提供する重要な要素です。この項目では、居室の開口部の面積と位置についての配慮を評価しています。

光・視環境に関することの性能表示事項

  • 7-1 単純開口率:外壁、屋根に設けられた開口部の面積の床面積に対する割合を表示
  • 7-2 方位別開口比:外壁、屋根に設けられた開口部の面積の各方位毎における比率を表示
  1. 音環境に関すること

共同住宅での騒音は生活の質に影響を与えます。この項目では、床や壁、外壁の窓の遮音性を向上させる対策を評価しています。

音環境に関することの性能表示事項

  • 8-1 重量床衝撃音対策:等級1〜5。上下階の界床の重量床衝撃音を遮断する対策を表示
  • 8-2 軽量床衝撃音対策:等級1〜5。上下階の界床の軽量床衝撃音を遮断する対策を表示
  • 8-3 透過損失等級(界壁):等級1〜4。界壁の空気伝搬音について遮断の程度を表示
  • 8-4 透過損失等級(外壁開口部):等級1〜3。外壁に設けられた開口部に方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を表示
  1. 高齢者等への配慮に関すること

高齢者や障害者が住みやすい設計は重要です。この項目では、移動時の安全性や介助のしやすさを評価し、等級で表示しています。

高齢者等への配慮に関することの性能表示事項

  • 9-1 高齢者等配慮対策等級(専用部分):等級1〜5。高齢者配慮のために必要な対策の程度を等級で表示
  • 9-2 高齢者等配慮対策等級(共用部分):等級1〜5。共同住宅等の主に建物出入り口から住戸の玄関における高齢者配慮のために必要な対策の程度を等級で表示
  1. 防犯に関すること

侵入盗犯罪の増加に対応し、住宅の防犯性に関心が集まっています。この項目では、四つの防犯原則の中で「被害対象の強化」に注目し、開口部の侵入防止対策を表示します。

防犯に関することの性能表示事項

  • 10-1開口部の侵入防止対策:外部からの侵入を防止するための対策を講じているか否かを表示

まとめ

住宅性能評価は、家の品質を具体的かつ客観的に示す方法です。評価書によって、耐震性や断熱性など、安心して住生活をおくるために必要な様々な性能が可視化されます。この評価書があれば、安心して生活できるだけでなく、家そのものの価値も向上します。住宅性能評価は、家選びや資産価値の向上に不可欠なツールと言えるでしょう。

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