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2023
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26

LEED認証とは何のこと? その概要と取ることの意味

「地球環境に配慮をしよう」という考え方は、1980年代からたびたび取り上げられるようになり、1990年代に入るとその注目度の高さはますます上がっていきました。そして時代が経つに従い、その時代その時代に応じた新しい「地球環境への配慮を、数字化した基準」が取り上げられるようになりました。
LEED認証もまた、そのような基準のうちのひとつです。

ここでは、
・LEED認証とは何か
・LEED認証の評価基準
・LEED認証を取得することのメリット3つ
・LEED認証の費用
について解説していきます。

LEED認証とは、米国グリーンビルディング協会が取り扱っている基準のこと

LEED認証は“Leadership in Energy & Environmental Design(認証)”を略した表記で、「リードニンショウ」と読みます。
このLEED認証は地球環境への配慮を目的として生み出された制度のうちのひとつであり、「その建築物や都市の持っている環境性能を評価するためのものである」といえます。
LEED認証の考え方は、アメリカで生まれました。アメリカのNPO「グリーンビルディング協会(USGBC)」が1998年にスタートさせたもので、やがてこれが日本にも入ってきたわけです。

このLEED認証には、4つの区分があります。
1.建築物一棟(新築もしくは大がかりな増改築など)
2.建築物の一部(テナントの入居者が専有している部分など)
3.既存の建築物(既存の建築物の維持や管理など)
4.町の区画(計画時や開発終了時での評価)
非常に特徴的なのは、4の「町の区画」でしょう。LEED認証が対象とするのは、個々の建築物だけではなく、ひとつの地域を丸ごと対象とする場合もあります。その町がどのようにして計画され、どのようにして開発され、そしてどのようにして開発が終わったのかまで、LEED認証は判断します。
さらに、LEED認証は新しく建てられる建築物だけでなく、既存の建築物も対象としています。そのため、「建てたときはLEED認証を受けていないが、改めてLEED認証を受けたい」と考えるオーナーにも使える制度なのです。


LEED認証の評価基準

LEED認証はその評価基準として、下記の9つのカテゴリーで評価されます。

1.総合的なプロセス……プロジェクトの段階で、さまざまな分野の人が参加できるかどうかを見た指標。重要度は9つのなかでもっとも低く、満たしていたとしても1ポイントの加算に留まる
2.立地と交通……多くのアクセス手段があるか、生活エリアに移動の機能が含まれているか。最大で16ポイントが加算される
3.立地選択と敷地利用……公共交通機関に対してのアプローチがしやすいかどうか、歩行者の安全で快適な通行が守られているかどうかを見る項目。最大で10ポイントが加算される。
4.水の利用効率……水を無駄なく利用できているかどうかを見る項目で、最大で11ポイントが加算される
5.エネルギーと大気……エネルギーの利用が効率よく、革新的な方法で行われているかどうかを見る項目。最大で33ポイントと、9つのカテゴリーのなかでもっともポイントが大きい
6.材料と資源…そこで使われている資材が、持続可能なものかどうか、廃棄材の削減が考えられているかどうかを見る項目。最大で13ポイントが加算される
7.室内環境品質……どれくらいの太陽光が入るか、眺めは良いか、室内環境は整っているのかを見る項目。最大で16ポイントが加算される
8.革新性…LEED認証ではカバーしきれない範囲の、よりサステナブルで、より革新的な取り組みがされていると判断される対象物に与えられるポイント。最大で6ポイントが加算される
9.地域別優先クレジット……その地域に応じた環境対策がなされているかどうかを見る項目。最大で4ポイントが加算される。

このうちの1から7までは、「主要な評価分野」とされています。対して8と9はボーナス的な評価軸です。また、LEED認証の最大ポイントは110ポイントです。

上記から見ても分かるように、LEED認証は加算式で判断されます。それぞれの項目の点数が高ければ高いほど、総合評価も高くなります。
LEED認証は、40~49ポイントからなる「標準認証」、50~59ポイントからなる「シルバー」、60~79ポイントからなる「ゴールド」、そして80ポイント以上からなる「プラチナ」の4段階に分けられています。


LEED認証を取得するメリット3つ

最上位である「プラチナ」の認証を受けられればそれに越したことはありませんが、それ以外のランクだとしても、LEED認証を受けることには多くのメリットがあります。

H3 エネルギーの消費量を抑えられるため、光熱費などの負担を抑えられる

やや逆説的な言い方ではありますが、LEED認証を受けられる建築物=エネルギーの消費量を抑えやすい建築物であるといえます。

エネルギーの消費量が低い場合、地球環境に負担を与えにくいだけでなく、その建築物の管理・運営を行うオーナーの金銭的な負担も抑えられます。初期コストは地球環境をまったく意識していない建築物よりも高くなりがちですが、ランニングコストを考えたときは地球環境に配慮した建築物の方が低くなる傾向があります。

この考え方は特に「新しい建築物」を建てるときに役立ちます。

H3 企業イメージが上昇し、ESG投資の面で高く評価される
現在、投資の考え方として、「ESG投資」と呼ばれるものが注目を集めています。これは「環境や社会への配慮や、企業統治能力が高い企業に対して投資をしよう」とする考え方です。このESG投資の市場は年々右肩上がりに上昇していて、自社への投資を願っている企業家にとっては決して無視できないものです。

そして、「LEED認証を受けている建築物であること」は、ESG投資を考えている投資家にとって強烈なアドバンテージとなりえます。特に海外の投資家においてはこの傾向が顕著です。
見方を変えれば「LEED認証を受けることで、投資が受けられやすくなる」といえるでしょう。

H3 認証を受けていない物件に比べて、賃料が高い
ビルやマンションのオーナーにとって、「その建築物の稼働率がどれくらいであるか」は非常に大きな関心事です。稼働率が低ければ、入ってくる家賃が少なくなるからです。

LEED認証を受けることは、このようなオーナーの悩みを解決する一助となり得ます。
アメリカの都市部の集合住宅の稼働率を調査したデータでは、「LEED認証を受けている建築物の割合は10パーセント以上増加している」としています。さらに、「LEED認証を受けている物件の稼働率は2020年から2021年までに2パーセント上昇し、そうではない物件は2パーセント下落している」というデータも出ています。
また、LEED認証を受けている集合住宅の賃料も、3.1パーセント上昇していたようです。

このようなことから、「LEED認証を受けることは、その建築物の稼働率や賃料アップに役立つ」といえるでしょう。

出典:CUSHMAN&WAKEFIELD「サステナビリティが不動産投資へ与える影響」


LEED認証の認証費用は2023年5月1日に値上げされた

ただ、LEED認証を受けるうえで考慮しておかなければならない点もあります。

それが「費用」です。

LEED認証を受ける際は、審査のための費用が必要です。その費用は面積などによっても変わりますが、十数万円~数百万円までかかるケースもあります。

また2023年の5月1日には、LEED認証の登録・認証料金の値上げも発表されました。

LEED認証は非常に多くのメリットを持つものではありますが、同時に、このような「コストの問題」を抱える制度であることも確かです。また高い専門性が求められる分野でもあるので、「LEED認証を受けたい」「ほかの認証制度のことも考えている」という場合は、専門家に相談することをお勧めします。

https://www.shoenekeisan-kankyoninsho.com/

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