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2023
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LEED認証とは?省エネや環境配慮に優れたシステムを紹介

LEED認証とは?

LEED認証とは、建築物の総合的な環境性能を評価するシステムとして米国の非営利団体USGBC(米国グリーンビルディング協会)により開発・運用されています。正式名称は「Leadership in Energy & Environmental Design」で、世界各国で広く利用されており、日本でも認証件数が増加しています。

建築物の環境性能評価には、エネルギー性能だけでなく、水消費、材料利用、敷地計画など多岐にわたる評価項目があります。近年は、働きやすさや健康性といった側面も取り入れられるようになっており、それらを総合的に評価するシステムとしてLEEDは重要です。

日本ではCASBEEの方が一般的

建築物の環境性能を表す認証制度として、日本ではCASBEEの方が広く普及しています。CASBEEは、省エネルギーや環境負荷を減少させる資機材の使用、室内の快適性、そして景観への考慮を総合的に評価するシステムとして、2001年から開発・運用がなされています。CASBEEの独自の評価基準「BEE」をはじめ、ライフサイクルや環境効率を考慮した評価が特徴で、その評価結果にはSランクからCランクまでの5段階のランキングが与えられます。

グローバルな視点で考えると、LEED認証が国際的に認知されているのも事実です。LEEDは多くの国で利用されており、その基準は国際的な建築物の環境評価のスタンダードとして位置づけられています。このため、国内においてCASBEEが非常に有益である一方、全世界に向けて建築物の環境性能を示すにはLEEDもまた大切なツールと言えるでしょう。

5つの認証カテゴリー

LEEDは評価する目的に応じて5つの認証システムがあり、それぞれ「BD+C」、「ID+C」、「O+M」、「ND」、「HOMES」と名付けられています。それぞれ詳細は以下の通りです。

  • BD+C(Building Design and Construction):新築または大規模な改築を行う建物が対象です。主要な空調設備の改修や建物外装の大規模な改修も含みます。該当例として、レストラン、アパレルといった小売業用の建物、学校、ホテルなどがあげられます。
  • ID+C(Interior Design and Construction):インテリア工事のプロジェクトが対象です。一般消費者向けの小売用サービススペース、ショールーム、ホテルのインテリアなどが該当します。
  • O+M(Building Operations and Maintenance):大きな改修工事を行わず、運用やメンテナンスの向上を目指す工事が対象です。既存のビル、小売スペース、学校、ホテル、倉庫などで適応されます。
  • ND(Neighborhood Development):新規の土地開発や再開発が対象となります。プロジェクト完成前に予備認証の受取が可能で、プロジェクトの完了から3年以内であれば最終認証を受けることができます。
  • Homes:戸建て住宅、3階以下の低層住宅、4〜8階の中層共用住宅で適応されます。住宅専用の認証システムで、家族の生活品質や環境への配慮を評価する点が特徴です。

4つの認証レベル

評価は、必須条件を満たした上で選択可能な項目からポイントを取得し、その合計によって4段階の認証レベルが決定します。これらのレベルは「標準認証」、「シルバー」、「ゴールド」、「プラチナ」としています。

  • 標準認証:40-49ポイント。4段階の中で最も基本的な認証。最低限の環境性能を持つ建築物に与えられる。
  • シルバー:50-59ポイント。標準認証よりも一段階高い評価を受けた建築物に与えられる。
  • ゴールド:60-79ポイント。シルバーよりもさらに高い環境性能を持つ建築物に与えられる。
  • プラチナ:80ポイント以上。4段階の中で最も評価が高い認証。優れた環境性能を持つ建築物のみがこの認証を受けることができる。

資格について

LEEDは、高い知識を有する専門家を表す資格制度があります。この評価システムを日本でサポートする一般社団法人グリーンビルディングジャパンによれば、2015年11月から「LEEDグリーンアソシエイト」の試験が日本語で受けられるようになりました。この入門試験に合格すると、専門家向けの「LEED AP」試験の一部が免除されるメリットがあります。ただし、LEED APの試験は日本語対応の予定はまだありません。(2023年9月時点)

LEED認証を取得するメリット

LEED認証を取得することで以下のようなメリットがあります。

  • 省エネ効果が高くなる
  • 企業イメージが向上する
  • 資産価値が上がる
  • 既存建物に対する評価が改善する

省エネ効果が高くなる

LEED認証を取得した建物は省エネ効果が高く、エネルギーコストを削減できます。設計段階からの省エネルギー対策や環境配慮が求められるため、通常の建物に比べてエネルギー消費量や水使用量が少なくなるからです。具体的には、LEED認証の基準に沿って適切な断熱材の使用やエネルギー効率の高い設備を導入することで、暖房・冷房のエネルギー消費を削減できます。これにより、電気やガスの使用量が減少し、ランニングコストを抑えることができます。また、LEEDでは、ZEHやBELSでは取り扱われない水使用量の評価も行われます。雨水の利用や高効率な給水設備の導入など、水資源を効率的に利用する施策が推進されることで、水道料金のコストも削減されます。LEED認証を取得することで、エネルギーコストだけでなく、総合的なランニングコストを削減する効果が期待されるのです。

企業イメージが向上する

LEED認証を取得することで、企業イメージが大きく向上します。その理由は、物件オーナーや企業がLEED認証を取得することで環境問題への取り組みを対外的にアピールできるからです。このような姿勢は現代の市場環境や投資家の期待と合致しており、SDGsやESG投資に対する積極性が企業価値の向上を実現します。企業イメージが向上すると、資金調達基盤の強化、投資家による企業格付け向上、株価の向上、従業員の満足度向上などにつながる効果があります。LEED認証の取得は、市場競争力の強化やステークホルダーとの関係の強化を通じて、企業全体のイメージと価値を大きく向上させます。

資産価値が上がる

LEED認証を取得した建物は資産価値の向上が期待できます。環境性能が高いビルは売買や賃貸において高い収益性が期待できるからです。米国での調査によると、LEED認証を持つ賃貸ビルは、賃料や稼働率が上がる傾向があります。また、LEED認証を持つ建物は、他の建物と差別化が図れるため、テナントリーシング時における競争力が高まります。特に、グローバル基準のLEEDを重視する外資系企業からの注目度が高く、その誘致に効果的です。以上の理由から、LEED認証を取得することは、不動産の資産価値を大きく向上させる要因となります。

既存建物に対する評価が改善する

LEED認証は、特に既存建物の環境性能改善が期待できます。なぜなら、環境性能を表す基準は新築に対するものが多いのに対し、LEED認証は既存建物に対しても評価を行い、環境的価値の向上を目指しているからです。日本では新築の価値が重視される傾向がありますが、持続可能性の観点から考えると、既存の建物を改修し、その価値を再生・向上させることは非常に重要です。既存の建物を適切にリノベーションやメンテナンスすることで、新築時に発生する二酸化炭素も抑えられ、環境への負荷を軽減できます。LEED認証は改修工事を通じてだけでなく、運用やメンテナンスの改善を評価しています。既存の建物にも焦点を当てることで、LEED認証はその価値を環境的に向上させる意義があります。

LEED認証の評価項目

LEED認証の評価項目は以下の9つに分かれており、それぞれ必須条件、選択項目によりポイントが加算されて評価されます。

  • 統合的プロセス
  • 立地と交通
  • 持続可能な材料と資源
  • 水の効率的利用
  • エネルギーと大気
  • 立地選択と敷地利用
  • 室内環境品質
  • 革新性
  • 地域別重み付け
  • 地域・近隣の重要項目

これらの評価項目を元に、建物の環境性能やサステナビリティが総合的に評価されます。

LEED認証とは?省エネや環境配慮に優れたシステムを紹介!【まとめ】

LEED認証は、建築物の環境性能を評価するための国際的な基準です。米国で運営されるこの制度は、全世界で建築や都市の環境における持続可能性を評価しています。主にエネルギー効率、水の利用効率、CO2排出の削減、室内環境の質などを対象としており、環境に優しい建物の設計や施工を奨励することを目的としています。認証を取得することで、省エネや環境に配慮した建築物にできるだけでなく、建築物の資産性や企業イメージを向上させることもできるため、多くのビルや施設がLEED認証を目指しています。LEED認証を取得し、環境と経済の両方に利益をもたらしましょう。

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