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2023
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Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)を解説!Z

Nearly ZEH+とは

Nearly ZEH+を理解する前に、ZEHとZEH+の違いについて知っておきましょう。ZEHは断熱を強化し、高効率設備や太陽光発電を利用します。そうすることで、熱の逃げない住宅をつくり、消費エネルギーを削減し、使用するエネルギーは自家発電でまかなうという省エネ住宅です。そしてZEH+はZEHよりもさらに厳しい断熱の強化、エネルギーマネジメントシステムの導入、電気自動車の充電設備の設置などが求められます。ZEH+の方がより省エネに配慮した住宅だといえます。

Nearly ZEH+というのは、ZEH+と比べて発電によってまかなうことができるエネルギー量が小さい住宅を指します。ZEH+は発電によって消費エネルギーの100%以上の発電をしているのに対し、Nearly ZEH+は75%以上100%未満の発電をしています。

Nearly ZEH+の定義

Nearly ZEH+は以下の条件を全て満たす必要があります。

  • Nearly ZEHの性能を満たす
  1. 地域によって定められた外皮基準(外皮平均熱貫流率UA値0.4~0.6)を満たす
  2. 一次消費エネルギーを基準から20%以上削減する
  3. 再生可能エネルギーを導入し、一次消費エネルギー75%以上100%未満の創エネをする
  • 一次消費エネルギーを基準から25%以上削減する
  • さらに、以下3つのうち2つを満たす
  1. 強化した外皮基準(外皮平均熱貫流率UA値0.3~0.5)を満たす
  2. 高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)を導入し、冷暖房や給湯器を制御する
  3. 電気自動車充電設備を設ける

Nearly ZEH+の重要性

Nearly ZEHやNearly ZEH+はなぜ必要?ZEHやZEH+を目指せば良いのでは?という疑問を持たれる方もいると思います。結論として、Nearly ZEHやNearly ZEH+は必要です。その理由は、すべての人がZEHやZEH+の条件を完全に満たせるわけではないからです。例えば、土地が狭い、敷地条件が厳しい、予算が限られているといったケースも多くあります。このような状況下で、発電設備の容量を増やすことが難しい場合でも、省エネに取り組めるのがNearly ZEHやNearly ZEH+です。

これらの設計では、それぞれの家庭や土地の条件に応じて、最大限省エネを図れます。つまり、完璧にエネルギー自給自足を目指せなくても、それなりにエネルギー効率の良い生活が可能です。Nearly ZEHやNearly ZEH+があることで、多様なニーズや制約に対応しながら、持続可能な生活を目指すための選択ができます。

ZEHの種類

ZEHには以下の5種類があります。

  • ZEH(ゼッチ)
  • ZEH+(ゼッチプラス)
  • ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)
  • Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)
  • Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)

それぞれ以下にて詳しく解説します。

ZEH(ゼッチ)

ZEHは以下の条件を満たす住宅です。省エネ性能が高く、わずか消費するエネルギー以上のエネルギーを生み出します。

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)を基準値以下にする:1、2地域0.4、3地域0.5、4~7地域0.6以下(単位:W/㎡K)
  • 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する
  • 再生可能エネルギーにより、一次エネルギー消費量を100%以上削減する。

ZEH+(ゼッチプラス)

ZEH+は以下の条件を満たす住宅です。ZEHよりもさらに厳しい断熱性能や高性能な設備の導入が必要となります。

  • ZEHの要件を満たす
  • 一次消費エネルギーを基準から25%以上削減する
  • さらに、以下3つのうち2つを満たす
  1. 強化した外皮基準(外皮平均熱貫流率UA値0.3~0.5)を満たす
  2. 高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)を導入し、冷暖房や給湯器を制御する
  3. 電気自動車充電設備を設ける

ZEH Oriented(ゼッチオリエンテッド)

ZEH Orientedは以下の条件を満たす住宅です。太陽光発電を設置できない(設置しても大きな効果がのぞめない)敷地条件向けのZEHです。

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)を基準値以下にする:1、2地域0.4、3地域0.5、4~7地域0.6以下(単位:W/㎡K)
  • 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する
  • 再生可能エネルギーの導入は不要
  • 都市部狭小地(※)に建築された住宅に限る

※都市部狭小地とは、北側斜線制限の対象となる用途地域(第一種及び第二種低層住居専用地域、第一種及び第二種中高層住居専用地域)等で、敷地面積が 85 ㎡未満の土地。ただし、住宅が平屋建ての場合は対象外。

Nearly ZEH(ニアリーゼッチ)

Nearly ZEHは以下の条件を満たす住宅です。敷地条件や計画上の都合によりZEHで計画できない方向けのZEHです。

  • 外皮平均熱貫流率(UA値)を基準値以下にする:1、2地域0.4、3地域0.5、4~7地域0.6以下(単位:W/㎡K)
  • 再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量を削減する
  • 再生可能エネルギーにより、一次エネルギー消費量を75%以上100%未満に削減する。

Nearly ZEH+(ニアリーゼッチプラス)

Nearly ZEH+は以下の条件を満たす住宅です。Nearly ZEHよりもさらに性能が高い省エネ住宅です。

  • Nearly ZEHの要件を満たす
  • 一次消費エネルギーを基準から25%以上削減する
  • さらに、以下3つのうち2つを満たす
  1. 強化した外皮基準(外皮平均熱貫流率UA値0.3~0.5)を満たす
  2. 高度エネルギーマネジメントシステム(HEMS)を導入し、冷暖房や給湯器を制御する
  3. 電気自動車充電設備を設ける

Nearly ZEH+と補助金について

Nearly ZEH+は補助金がもらえるのか?と疑問を持たれている方も多いでしょう。結論として、Nearly ZEH+も補助金がもらえます。ただし、Nearly ZEH+で補助金が申請できる地域は限定される場合があります。

対象かどうかは地域による

経済産業省、環境省が実施しているZEH補助金は、基本的に100%以上のエネルギー削減を満たした、ZEH、ZEH+に対して交付されるものです。しかし、敷地条件や日照条件などから、太陽光発電を設置しても効果が得られない地域もあります。例をあげると、寒冷地、低日射地域、多雪地域、都市部狭小地などがそれにあたります。これらの地域ではNearly ZEH、Nearly ZEH+、ZEH Orientedでの補助金交付が認められています。

補助金の種類

ZEH補助金は以下の4種類があります。

  • ZEH支援事業(ZEH)
  • ZEH支援事業(ZEH+)
  • 次世代ZEH+実証事業
  • 次世代HEMS実証事業

補助額や交付要件がそれぞれ異なるため、どの補助金に申請できるかをあらかじめ検討しておきましょう。

ZEH支援事業(ZEH)

ZEHに適用される最も一般的な補助金です。

  • 対象となる住宅:ZEH、Nearly ZEH (寒冷地、低日射地域、多雪地域のみ)、ZEH Oriented (都市部狭小地の二階建以上、多雪地域のみ)
  • 交付要件:ZEHの性能を満たすこと、SIIに登録されているZEHビルダー・プランナーが設計・建築・販売する住宅であること
  • 補助額:55万円/戸
  • 公募方法:先着方式
  • 追加補助額:蓄電システム(定置型)2万円/kWh、補助対象経費の1/3または20万円のいずれか低い額を加算、直交集成板(CLT)90万円/戸、地中熱ヒートポンプシステム90万円/戸 、PVTシステム【液体式】65万円/戸もしくは80万円/戸 【空気式】90万円/戸、液体集熱式太陽熱利用システム12万円/戸もしくは15万円/戸
  • 事業者:環境省
  • 参考ホームページ:https://sii.or.jp/moe_zeh05/

ZEH支援事業(ZEH+)

ZEH₊とすることでさらに補助額を増やせます。

  • 対象となる住宅:ZEH₊、Nearly ZEH₊ (寒冷地、低日射地域、多雪地域のみ)
  • 交付要件:ZEHの性能を満たすこと、SIIに登録されているZEHビルダー・プランナーが設計・建築・販売する住宅であること、一次エネルギー消費量削減率25%以上、再生可能エネルギーの自家消費拡大措置3項目のうち2つ以上を導入すること:①.外皮性能の更なる強化(外皮平均熱貫流率UA値0.3~0.5)②高度エネルギーマネジメント(HEMS)③電気自動車充電設備、または充放電設備
  • 補助額:100万円/戸
  • 公募方法:先着方式
  • 追加補助額:ZEHの場合と同様
  • 事業者:環境省
  • 参考ホームページ:https://sii.or.jp/moe_zeh05/

次世代ZEH+実証事業

次世代ZEH+は交付要件が少し厳しくなります。

  • 対象となる住宅:ZEH₊、Nearly ZEH₊ (寒冷地、低日射地域、多雪地域のみ)
  • 交付要件:ZEH₊の性能を満たすこと、以下の5項目のうちいずれか1つ以上導入すること:①蓄電システム②V2H(充放電システム)③燃料電池④太陽熱利用温水システム⑤太陽光発電10kW以上
  • 補助額:100万円/戸
  • 公募方法:先着方式
  • 追加補助額:蓄電システム(定置型)2万円/kWhか補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算、V2H充電設備(充放電設備)補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低い額を加算、燃料電池:2万円/台、太陽熱利用温水システム【液体式】17万円/戸【空気式】60万円/戸
  • 事業者:経済産業省
  • 参考ホームページ:https://sii.or.jp/meti_zeh04/

次世代HEMS実証事業

次世代HEMS実証事業は補助額が最高額です。その分、交付要件も最も厳しくなります。

  • 対象となる住宅:ZEH₊、Nearly ZEH₊ (寒冷地、低日射地域、多雪地域のみ)
  • 交付要件:ZEH₊の性能を満たすこと、高度エネルギーシステム(HEMS)を導入すること、蓄電池システムまたはV2H(充放電システム)を導入すること、AIやIOT技術を使用し最適制御を行う仕組みを設けること
  • 補助額:112万円/戸
  • 公募方法:先着方式
  • 追加補助額:蓄電システム(定置型)2万円/kWh、 補助対象経費の1/3又は20万円のいずれか低い額を加算、V2H(充放電設備)補助対象経費の1/2または75万円のいずれか低い額を加算、燃料電池2万円/台、太陽熱利用温水システム【液体式】17万円/戸【空気式】60万円/戸
  • 事業者:経済産業省
  • 参考ホームページ:https://sii.or.jp/meti_zeh05/zeh_plus_hems/public.html

まとめ

Nearly ZEH+は、敷地の条件や予算に制限がある中でも省エネを追求する住宅設計の一つです。Nearly ZEH+は完全な自給自足が難しい条件でも、エネルギー効率を高められます。多様なニーズに柔軟に対応しながら、持続可能な生活を目指すという合理的で現実的な選択肢です。このような住まいを選ぶことで、初期費用と長期の運用コストのバランスも取りやすく、持続可能な生活が手の届くものとなります。

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