TOP
>
省エネ計算お役立ちコラム
>
2023
12
10

BPI とは?建築物の外皮性能を評価する省エネ基準を解説

BPIとは?建築物の外皮性能を評価する省エネ基準を解説

 

建築業界において、省エネルギー基準の遵守はますます重要になっています。それに伴い様々な基準が注目されていますが、その一つにBPIがあります。BPIは、省エネ法改正に伴い設けられたPAL*により算出される年間熱負荷の基準です。本記事では、BPIとPALについて、その役割や重要性を深く掘り下げて解説します。

BPIとは

BPI(Building Palstar Index)は、建築物の省エネ性能を評価する指標です。具体的には、建築物の床面積当たりの年間熱負荷を数値化し、その削減率を示します。この削減率は、国が定める基準PAL*(建築物の外皮性能指標)と比較して計算され、「設計PAL*/基準PAL*」の公式で算出されます。省エネ性能の評価では、BPIの他にBEI(一次エネルギー消費量基準)が用いられることもあります。BEIは1.0が省エネ基準に相当し、新築の場合は1.0以下であることが求められますが、BPIに関する具体的な基準は設けられていません。このように、BPIは建築物の環境配慮とエネルギー効率の高さを示す重要な指標として活用されています。

PAL*について

PAL*(パルスター)は、非住宅建築物の断熱性能(外皮性能)を評価するための指標です。この指標は、建築物の床面積当たりの年間熱負荷を示し、エネルギー効率の高い建築物設計を目指す際に重要な役割を果たします。PALが小さい、あるいはPAL低減率が大きいほど、建築物の断熱性能が高いと評価されます。また、PALとPALは異なるため注意しましょう。PALでは外壁、屋根、外気に接する床に基づくペリメータゾーンの重複を避けて空間を分割して計算するのに対し、PALではペリメータゾーンの重複を認めて算出する点が特徴です。PAL*は、建築物の環境性能を示す重要な指標として、省エネルギー設計の基準に活用されています。

省エネ性能の評価方法

省エネ性能の評価方法には、建築物のエネルギー効率と環境影響を定量的に評価するための複数の基準があります。

  • 一次エネルギー消費量基準のBEI
  • 外皮性能基準のPAL*

これらの評価方法は、建築物の設計、施工、運用の各段階で重要な役割を果たします。

一次エネルギー消費量基準のBEI

一次エネルギー消費量基準のBEI(Building Energy Index)は、建築物が使用する全エネルギー源(電気、ガス、石油など)を総合的に評価し、総エネルギー消費量を測定する指標です。この指標は、断熱性能、暖房・冷房システムの効率、照明や機器のエネルギー使用を分析し、無駄なエネルギー消費を特定するのに役立ちます。BEIを活用することで、エネルギー効率の高い建築物を目指す具体的な目標設定が可能となり、既存の建築物の場合はエネルギー改善策の基準としても使用できます。長期的な運用コストの削減と環境への負担軽減にも寄与するBEIは、持続可能な建築設計の基礎となります。

外皮性能基準のPAL*

外皮性能基準のPALは、建築物の外皮部分の設計と性能を重点的に評価する基準です。これには、外壁や屋根、床の断熱材の種類、厚さ、設置方法などが含まれます。また、建築物の気密性や窓の性能も重要な要素であり、これらは熱損失と日射熱取得に大きく影響します。PALに基づく評価は、特に建築物の設計初期段階で重要であり、適切な材料選定や設計を通じてエネルギー効率の高い建築物を実現するための基準を提供します。この基準は、エネルギー消費の削減、居住者の快適性向上、環境負荷の軽減に貢献し、省エネルギー対策と環境負荷低減における重要なガイドラインとなっています。

PAL*は建築の仕様で決まる

PAL*は建築仕様によって大きく影響される指標です。主に、開口部、床、壁、天井の仕様が重要です。

開口部の仕様

開口部の設計は外皮性能に影響を及ぼします。特に窓は、熱損失や熱利得、日射制御に関わり、高性能な窓は室内温度の維持に効果的です。窓枠の材質や配置はエネルギー効率向上に貢献し、低SHGCのガラスは夏の過剰な日射熱を抑制します。例えばペアガラスやトリプルガラス、低放射ガラスなどを使用すると、熱伝導を減らし、季節に応じた室内温度の維持に効果的です。また、窓枠の材質選定は熱損失を減少させる上で重要であり、窓のサイズと配置は日射熱取得と自然光の最適化に貢献します。これらの要素により、建築物全体のエネルギー効率が向上します。

床・壁・天井の仕様

床、壁、天井の仕様もPAL*に影響します。断熱材の種類や配置は熱損失のコントロールに重要です。床は地面からの冷気侵入を防ぎ、壁は外気温の変動から室内を保護します。天井の断熱材は夏の冷房負荷を軽減し、冬の暖房負荷を減らす効果があります。

適切に断熱された床は、地面からの冷気の侵入を防ぎ、また暖房時の熱が下へ逃げるのを防ぐ役割を果たします。壁の仕様に関しては、外壁材の熱伝導率が低い材料の選択や、壁内の断熱材の適切な配置が重要です。これにより、外気温の変動から室内を保護し、エネルギー効率を高めます。天井は屋根との接続部分のため、断熱材の選定と施工がとても重要となります。屋根は、日射熱の影響を直接受けるため、高性能の断熱材を用いることで、夏季の冷房負荷を軽減します。床、壁、天井の仕様は、建築物の外皮性能を最適化し、持続可能な建築を実現するために不可欠な要素です。

ペリメータゾーンの年間熱負荷

ペリメータゾーンの年間熱負荷は建築物のエネルギー効率にとって重要です。このゾーンは外気温や日射の変化に直接さらされ、年間を通じて様々な熱負荷の影響を受けます。

特に注意すべき要素は以下の4点です。

  • 外気とペリメータゾーンの温度差
  • 外壁・窓等からの日射熱
  • ペリメータゾーンで発生する熱
  • 換気により生じる熱負荷

外気とペリメータゾーンの温度差

建築物のペリメータゾーンと外気の温度差が大きいと熱の流入や流出が増加し、エネルギー消費が増えます。効果的な断熱材や窓の性能改善でこれを最小限に抑えることが可能です。

冬は、ペリメータゾーン内の暖かい空気が外壁や窓を通じて外に逃げやすくなり、暖房エネルギーの消費が増加します。夏は、外の高温が室内に侵入し、冷房の負荷を増加させます。この温度差による熱の流れは、断熱性能に依存し、効果的な断熱材の使用や窓の性能改善によって最小限に抑えられます。また、窓の日射遮蔽や適切な気密性の確保が重要で、これらの対策は建築物のエネルギー効率を高め、年間のエネルギー消費を削減する上で不可欠です。したがって、ペリメータゾーンの断熱性能と気密性に注意を払うことが求められます。

外壁・窓等からの日射熱

日射熱はペリメータゾーンの温度に大きな影響を与えます。夏季には、太陽光が直接窓を通じて室内に入り、室温を上昇させ、冷房負荷を増加させます。同様に、外壁が直射日光を吸収することも室温の上昇に寄与します。特に熱伝導率の高い外壁材料は、より多くの熱を吸収します。この問題に対処するためには、窓に日射遮蔽装置を設置し、高性能窓を使用することが効果的です。また、外壁には反射率が高く熱伝導率が低い材料を選び、適切な断熱材を使用することが重要です。これらの対策により、ペリメータゾーンの温度管理が改善され、建築物全体のエネルギー効率が向上します。

ペリメータゾーンで発生する熱

建築物のペリメータゾーンは外部気候と内部活動からの熱の影響を受けやすい部分です。外壁や窓に隣接しているため、日射熱や気温変化による熱の流入・流出が主な影響源です。夏には日射により室内温度が上昇し、冷房負荷が増加します。一方、冬には室内の暖かい空気が外に逃げ、暖房負荷が増えます。このような室内の熱を管理するためには、断熱性能の向上、窓の改善、日射遮蔽の使用が重要です。また、適切な換気システムの導入により、ペリメータゾーンの温度環境を最適化し、建築物全体の快適性とエネルギー効率を向上させられます。

換気により生じる熱負荷

建築物の換気は空気質を維持する上で重要ですが、熱負荷を引き起こすことがあります。この負荷は外気と室内空気の温度差によって生じ、冷暖房した空気が外に逃げ、新鮮な外気が室内に入る際にエネルギー交換が発生します。冬は暖かい室内空気の損失があり、夏は冷却空気が逃げて暖かい外気が入ることで冷房負荷が増加します。この問題を解決するためには、熱交換を行う機械換気システムが有効です。これらのシステムは室内空気の熱を回収し、エネルギー損失を減らします。また、建築物の気密性の向上も無駄な熱損失を防ぐために重要です。換気による熱負荷管理は、エネルギー効率の向上と運用コスト削減に必要不可欠です。

BPIとは?建築物の外皮性能を評価する省エネ基準を解説【まとめ】

 

BPIは建築物のエネルギー効率と外皮性能を評価する重要な基準です。環境に優しく、持続可能な建築物を実現するためにはBPIの理解と知見は欠かせません。この新しい省エネ基準を活用してエネルギー効率の高い建築物をつくり、環境への影響を最小限に抑えましょう。

まず読みたい人気コラム

新着コラム

○○とは?基礎知識まとめ
おすすめ会社を一発選定!1分アンケートはこちらをClick!