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2023
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BELS評価書について。建築物の省エネルギー性能を最大化

近年、エネルギー効率の高い建築物が求められています。省エネルギー性能を客観的に示すツールとしてBELS評価書があります。本記事では、BELSとは何か、評価書の取得プロセス、メリットとその影響について詳しく説明します。

BELSとは?

BELS(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)とは、新築・既存の建築物の省エネ性能を第三者評価機関が評価・認証する制度です。国公認のこの制度は、建築物の省エネ性能と資産価値を一目で把握できる重要な指標となります。

BELSは、建物の一次エネルギー消費量に基づいて5段階の星評価を行い、評価結果は評価書として交付され、申請者の希望により建物にも表示されます。また、省エネルギーによる社会貢献のアピールや、住宅選びの参考など、様々な場面での利用が想定されています。

・対象となる建築物

BELS制度は、様々なタイプと規模の建築物に対応しています。大規模なオフィスビルから個別の住宅まで、すべての種類の建築物(住宅・非住宅を問わず)が評価の対象となります。

特に注目すべき点として、この制度では建物全体だけでなく、フロアやテナント単位でも評価が可能です。これは、各フロアやテナント単位で独立した設備機器を持ち、それぞれ独自のエネルギー効率を持つ場合に有効です。ただし、評価対象となる設備機器がフロアやテナント単位で明確に分離できる場合のみが評価可能となります。

・BEIと☆の数

BELS評価制度では、省エネルギー性能を示す指標としてBEI(Building Energy Index:建築物エネルギー指数)が用いられます。BEIは設計一次エネルギー(設計上の仕様・設備から計算されるエネルギー量)を基準一次エネルギー消費量(地域や床面積等に基づく基準仕様・設備から計算されたエネルギー量)で割ることで求められます。このBEIの値が低いほど省エネ性能が高いと評価されます。

BELS制度では、BEI(Building Energy Index:建築物エネルギー指数)の値に応じて以下のように星(★)の数で評価します。

★★★★★(5つ星): BEIが0.80以下

★★★★(4つ星): BEIが0.80より大きく、0.85以下

★★★(3つ星): BEIが0.85より大きく、0.90以下

★★(2つ星): BEIが0.90より大きく、1.00以下

★(1つ星): BEIが1.00より大きい

(参考資料:国土交通省 BELSによる住宅の省エネ性能表示について より)

星5つが最高ランクであり、国が定める省エネ基準に適合するのは星2つ以上、すなわちBEIが1.00以下の場合です。

・ZEHとの関係性

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、一年間で消費するエネルギー量と自家発電によるエネルギー量がゼロまたはマイナスとなる住宅を指します。2017年4月より、ZEH(もしくはNearly ZEH)基準を満たしている場合はBELSの評価欄にZEHマーク表示が可能になりました。

ZEHの基準を満たす住宅は、環境省、経済産業省が設ける補助金制度を利用できますが、この補助金を受けるためにはBELS等の省エネ性能表示が必要です。BELSで高評価を獲得した住宅は、多くがZEHとして認定され、補助金の申請に活用されています。

BELS評価書について

BELSの主な評価指標は、外皮性能と一次エネルギー消費量です。

外皮性能は、建物の外部(壁、天井、床、窓など)が保温や断熱の観点からどれだけ優れているかを示す指標です。高い外皮性能は室内の温度を安定させ、エネルギーの無駄を防ぎます。

一次エネルギー消費量は、給湯、暖房、冷房、換気、照明などを消費するために、石油や天然ガス、石炭、太陽光、風力、水力などの自然から得られるエネルギーがどれだけ消費されたかを表します。

これらの指標を元に求められた数値や性能はBELS評価書に表示され、省エネ性能が可視化されます。

・評価書に表示される性能

BELS評価書には以下の6つの性能が表示されます。

  1. BEIに応じた★マーク

建物の省エネ性能を★の数で表示します。BEI値によって5段階で表示され、★の数が多いほど省エネ性能が高いことを表します。

  1. 基準からの削減率

削減率=(1-BEI)×100で計算されます。

  1. 設計一次エネルギー消費量

設計・基準一次エネルギー消費量を表示します。

  1. 建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)への適合可否

一次エネルギー消費量、外皮性能の「建築物エネルギー消費性能基準」への適合の可否を表示します。

  1. UA値またはηAC値

外皮基準において、住戸部分のUA値、またはηAC値を表示できます。

  1. ZEHマーク

外皮基準、一次エネルギー消費基準を満たした住宅はZEHマークが表示されます。ZEHの補助金申請にも活用可能です。

BELS評価書の取得プロセス

BELS評価書の取得はどのようなプロセスで進められるのでしょうか。ここでは、申請書類から申請の概要までを解説します。

・申請書類

BELS評価書の申請には、以下の5つの書類が必要です。

  1. BELSに係る評価申請書
  2. 委任状
  3. 設計内容(現況)説明書
  4. BELS評価添付図書等
  5. BELSに係る評価物件 掲載承諾書

これらの書類は一般社団法人日本建築センターホームページよりダウンロード可能ですが、4の「BELS評価添付図書等」は申請者が手配する必要があります。

設計図や断熱性能の評価、換気装置の仕様書などがこれに該当し、膨大な資料の提出が求められます。

・申請の概要

申請者は必要書類を揃えたら、BELSの評価機関に提出して申請を行います。BELS評価機関は一般社団法人住宅性能評価・表示協会に登録されており、ホームページで確認できます。

(住宅性能評価・表示協会:https://www.hyoukakyoukai.or.jp/)

書類に不備がなければ評価書発行を待つのみです。早くて2週間、3~4週間ほどの期間がかかることもあるため、申請準備は早めに行う必要があります。

BELS評価書のメリットとその影響

BELS評価書の取得には一定の手間と時間がかかりますが、以下のような大きなメリットがあります。

  • 建物の省エネ性能が一目瞭然
  • 第三者の評価だから信頼性が高い
  • 補助金制度に利用できる

・建物の省エネ性能が一目瞭然

BELS評価書は、その性能を可視化し、わかりやすく示します。これにより、エネルギー効率の高い建物を選択する際の指標となります。

建物の省エネ性能を上げることは、様々な観点からその重要性が注目されています。

環境保護の観点からは、CO2排出量の低減が求められ、エネルギー効率の高い建物へのシフトは不可欠です。BELS評価書が建築物から発生するCO2削減の一助となることは言うまでもありません。

また、高性能の断熱材やエネルギー効率の高い設備が使用されている建物は快適です。真夏や真冬でも外気の影響を受けにくく、室内の温度差を抑えてくれるので、エアコンや暖房器具の使用頻度を減らして健康的に生活ができます。

さらに、エネルギー効率が高いということは、光熱費の節約にもなります。エネルギー価格の高騰する現代においては、住んだあとのランニングコストを抑えることも重要な要素です。

・第三者の評価だから信頼性が高い

BELS評価は、国が指定した第三者機関によって行われるため、高い信頼性があります。BELS評価は建築会社や設計者の自己申告ではなく、専門知識を持った第三者による評価だからです。そのため、客観性と公平性が高く、建物の性能について誤解を生むことなく、正確な情報提供が可能です。

また、国が指定する評価機関は、一定の技術力や信頼性が認められた機関のみが指定を受けられます。これにより、消費者はBELS評価を信用して建物の省エネ性能を確認できます。

・補助金制度に利用できる

BELS評価は、様々な補助金制度の利用にも活用できます。その一例がZEH補助金です。

ZEHは、一年間のエネルギー収支をゼロにするというコンセプトのもとに、省エネルギーと再生可能エネルギーの導入を進めるものです。補助金の申請には省エネ性能の証明が必須で、それにBELS評価書を利用できます。

また、BELS評価はその他の補助金制度でも有効に活用できます。具体的には、こどもエコすまい支援事業、こどもみらい住宅支援事業などの省エネ関連補助金が例にあげられ、これからもBELS評価を活用する事例は増えていくことが予想されます。

これらの制度は、一般的にエネルギー消費効率や省エネ性能によって補助金の金額が決まることが多く、BELS評価はその評価基準として信頼性高く用いられています。

BELS評価書取得者の体験談

BELS評価書を取得した方の体験談をご紹介します。

・「新築時に光熱費の削減を見込めた。」

住宅ローンの支払いに不安を抱えていた30代夫婦のコメントです。BELS評価書を用いて省エネルギー住宅を計画・実現した成功例を示しています。

BELS評価書により建物の省エネ性能が明確になり、初期の建築段階から光熱費の削減が見込めました。その結果、長期的な家計計画においても安心感を持つことができ、安心して住宅ローンを組めます。

BELS評価書により具体的な省エネ性能が確認された建物は、将来の経済的負担を減らし、価値の高い資産になります。

・「環境問題に興味をもてた。」

「家づくりを通じて社会情勢を理解する機会が広がった」という経験は、BELS評価書が環境意識を高めるきっかけとなることを示しています。

BELS評価書を取得すれば、自宅の省エネ性能だけでなく、エネルギー消費の基準値も把握できます。これにより、私たちの日常生活でどのように環境に配慮した行動が可能かを考えるきっかけになります。

BELS評価書は、単に建物のエネルギー効率を評価するだけでなく、持続可能な社会に向けて行動を促す教育的な役割も果たしていると言えるでしょう。

・「災害時のレジリエンスにも優れている。」

「災害時でも家が頼りになる」と語るこの体験談は、BELS評価書取得と蓄電池導入が提供する安心感を物語っています。

BELSで高評価を受けた住宅はエネルギーの消費効率が良いと認められています。これは、少ないエネルギーでも生活を維持しやすいということです。災害時にはエネルギー供給が不安定になることがありますが、エネルギー消費が効率的なBELS評価住宅では、その影響をより小さく抑えられます。

さらに、BELS評価住宅に蓄電池を組み合わせることで、電力供給が完全に途絶えた場合でも自宅でエネルギーを蓄積、利用できます。これにより、災害時の不確定要素に対しても、安心感を持って生活できます。

・「建物の省エネ性能を示す強力なツールになった。」

「建物の省エネ性能を具体的に示せるため、お客様への説明がスムーズになった」と語る不動産業者の声です。

BELS評価書は、建物の省エネ性能を数値化し、可視化するためのツールとして活用されています。特に、新築住宅を販売する不動産業者にとっては、お客様に対して具体的な性能値を提示し、その優れた性能を分かりやすく説明する上で役立ちます。

また、この評価が高い建物は省エネルギーに優れ、将来的なランニングコストも抑えられるといったメリットを伝えることも可能です。このように、BELS評価書は、不動産業界でも省エネ性能を効果的にアピールする強力なツールとして認識されています。

まとめ

BELS評価書は、建築物のエネルギー効率を評価・表示する重要なツールです。取得プロセスは一定の手間を要しますが、その結果として建物の省エネ性能が一目瞭然となり、信頼性が高くなります。さらに、補助金制度への応募にも役立ちます。持続可能な社会を目指す一環として、BELS評価書の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

BELS評価書は、建物の省エネ性能を数値化し、わかりやすく示す有力なツールです。それは住宅を選ぶ際の有力な情報として活用されるだけでなく、環境問題への意識を高めたり、エネルギー効率を追求したりするきっかけになります。

BELS評価書を取得した省エネ住宅は、地球環境への負荷を軽減し、同時に快適で持続可能な生活を支えるための重要な役割を果たします。

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