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2023
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住宅性能評価のメリットは?デメリットや費用もわかりやすく

住宅性能評価とは?

住宅性能評価は、国が定めた基準をもとに住宅の性能を評価する制度です。この制度により、住宅の耐震性、環境への配慮、劣化度、快適性など、幅広い項目が可視化されます。そして消費者は、可視化された情報をもとに住宅の購入やリフォームを検討できます。住宅性能評価書があれば、住宅の見えない部分の性能や品質が明らかになるため、安心して購入の選択ができます。

設計性能評価と建設性能評価

住宅性能表示制度には、設計性能評価と建設性能評価があります。設計性能評価は、住宅の設計段階で、図面や計画をもとに行われる評価です。一方、建設性能評価は、住宅が完成した後に実際の建物を対象に行われます。この段階では、建物が実際にどのような性能を持つのか、そして計画通りに建築されているかの確認です。これらの評価を受けることで、住宅の様々な性能を、計画段階、施工段階で知ることができ、住む人にとっては安心感や信頼感が高まります。

10分野の評価項目

住宅性能評価は、住宅のさまざまな側面を総合的に評価するため、10分野にわたる詳細な項目で構成されています。

  • 構造の安定:住宅の主要な構造部分の強度や地震、風、雪などの外部力への耐性を評価。
  • 火災時の安全:火災に対する避難の安全性や延焼防止対策を評価。
  • 劣化の軽減:住宅材料の持続性や劣化対策を中心に評価。
  • 維持管理への配慮:設備の点検や補修のしやすさを評価し、特に共同住宅の場合には排水管の更新工事の容易さも対象。
  • 温熱環境:断熱性能や室内の温度制御を評価。エネルギーの効率的な使用を目指す。
  • 空気環境:建材の選択や換気方法による室内の空気品質を評価。
  • 光・視環境:明るさや眺望、開放感などの視覚的な快適性を評価。
  • 音環境:外部の騒音や共同住宅の隣接部屋との遮音性を評価。
  • 高齢者や障害者への配慮:移動の容易さや転倒リスクの低減、車いす使用時のスペースなどの要素を評価。
  • 防犯対策:住宅のセキュリティや防犯性を評価。特に開口部の侵入防止対策を中心に検討。

この中で特に重要とされる基盤的な項目は、構造、劣化、維持管理、温熱の4分野で、これらは性能評価における必須の4項目です。他の分野は特定の要望やライフスタイル、地域の条件に応じて選択する項目となります。これらの情報を参照することで、住宅の選択や計画に役立てられます。

住宅性能評価書を取得するメリット

住宅性能評価を取得すると以下のようなメリットがあります。

  • 住宅の性能が可視化される
  • 不動産としての価値が高くなる
  • 住宅ローンや地震保険が安くなる
  • 紛争の解決がしやすくなる
  • 将来の維持費が明確になる
  • リフォームがしやすい

これらのメリットを活用することで、住宅選びを考える際の選択肢や判断基準が豊富になり、より賢明な選択ができます。それぞれのメリットについて以下にて詳しく解説します。

住宅の性能が可視化される

住宅性能評価書を取得する最大の魅力は、住宅の性能が明確になり、それが一目で理解できることです。なぜならこの評価書は、それぞれの性能表示事項で定められた等級を確認することで住宅の性能を確かめられるからです。たとえば、地震への強さを表す耐震等級では3つの等級に区分されています。

  • 耐震等級1:建築基準法で定められている最低限の耐震性能。
  • 耐震等級2:耐震等級1の1.25倍の耐震性能。災害時の避難拠点となる学校などに必要な性能。
  • 耐震等級3:耐震等級1の1.5倍の耐震性能。震度6~7の地震がきても軽微な修繕で住み続けられると想定。

それぞれの項目で等級を確認することで、家を購入にあたって価値のある判断材料を得られます。

不動産としての価値が高くなる

住宅性能評価書を取得することの利点は、住宅の市場価値を高めることにあります。なぜなら、この評価書は住宅の品質や性能を具体的に示す公的な証明となるため、住宅の価値を明確に示せるからです。例えば、良好な断熱性や耐震性などの高い性能を持つ住宅は、将来的なリセール価値も高くなる可能性があります。住宅購入を検討している人にとって、住宅の性能や品質が証明されている物件は魅力的です。性能評価書は、そうした住宅の機能やメリットを明確に伝えるためのツールとなります。

住宅ローンや地震保険が安くなる

住宅性能評価書を取得すると、住宅ローンや地震保険の料金が割引されます。評価書は住宅の品質や安全性を示す証明となるため、金融機関や保険会社からの評価が高くなるからです。住宅金融支援機構が展開するフラット35では、住宅性能評価で高い等級を確保した家に対して、当初の5〜10年、0.25〜0.5%の金利引き下げプランが用意されています。また、耐震等級3を取得した住宅は最大で50%の地震保険が割り引かれます。このような金融面でのメリットを享受することで、住宅購入者は初期費用や維持費を大きく抑えられます。

紛争の解決がしやすくなる

住宅性能評価書の取得は、紛争解決の手助けとなる利点があります。その理由として、評価書が交付された住宅に関するトラブルに際して「指定住宅紛争処理機関」のサービスを利用できるからです。この機関は、住宅関連のトラブルについて裁判を介さず、専門的に迅速に解決するために設けられています。加えて、手数料が1件あたり1万円とリーズナブルです。また、評価書の内容だけでなく、請負契約や売買契約など、住宅に関する広範なトラブルの解決をサポートします。紛争が生じた際に迅速かつ専門的なサポートを受けられる点が、評価書を取得する大きなメリットと言えるでしょう。

将来の維持費が明確になる

住宅性能評価書は、将来の維持費の見積もりを明確にできます。その理由は、評価書が住宅の品質や性能を詳細に示すため、どの部分がいつ頃メンテナンスや修繕が必要になるかが分かるからです。住宅オーナーにとって、未来の出費を予測しやすくすることは、資金計画を立てる上で大きなメリットとなります。さらに、評価書は様々な住宅の項目を網羅しているため、予期しない修繕費用の発生を減少させます。維持費を事前に知ることで、将来のライフスタイルや資金の計画に役立つのは大きな魅力です。

リフォームがしやすい

既存住宅で住宅性能評価を活用すると、リフォームに役立ちます。なぜなら、住宅性能評価は住宅の現状の機能や安全性を詳細に把握できるからです。これにより、修繕が必要な部分が一目で分かります。例えば、省エネ等級が確保できていない家は、断熱材やサッシの改修などにより断熱性を上げる対策が求められます。リフォームを検討している家主や業者は、客観的な評価に基づいてリフォーム計画を立てられます。計画や予算策定の際の重要な指針となるのは大きなメリットです。住宅性能評価は新築だけでなく、既存の住宅や中古住宅の購入を検討している方にも参考になる情報を提供します。

住宅性能評価書を取得するデメリット

一方で、住宅性能評価書には以下のようなデメリットも存在します。

  • 費用がかかる
  • 設計に制限がかかる
  • 建築コストが上がる

メリットだけでなく、デメリットにも目を向けて検討を視野にいれましょう。

費用がかかる

評価書の取得に伴う問題点は、それに伴う費用負担にあります。なぜなら、評価書を取得するためには、専門家による詳細な調査や評価が必要となるからです。費用はおよそ10〜20万円で、決して安い金額ではありません。しかし、評価書の取得は住宅の価値を上げる要素となります。この費用を投じることで得られる将来のメリットや安心感を考慮すると、コストパフォーマンスの面で十分に価値があるとも言えるでしょう。

設計に制限がかかる

住宅性能評価書の取得には、設計上の制約が伴うことがあります。なぜなら、評価基準を満たすために特定の設計要件や基準を守る必要があるからです。例えば、耐震性を確保するために大空間の設計が難しくなったり、省エネ性を上げるために大きな開口部を取るのが制限されたりすることもあります。独自のデザインや機能を取り入れたいときほど、これらは制約となります。設計の自由度と、品質や性能の向上という評価書のメリットを天秤にかけて、どちらを優先するかを判断する必要があるでしょう。

建築コストが上がる

住宅性能評価書の取得は、建築コストの増加を招くことがあります。なぜなら、評価基準を満たすために高品質な材料や特定の工法を採用するからです。家主にとって、初期投資が増加することは大きなデメリットと感じられることがあるでしょう。新しい住宅を建設する場合や大規模なリノベーションを考えている場合はなおさらです。しかし、性能評価の基準を満たすことで、長期的には住宅の耐久性や快適性は向上します。建築コストは上昇しても、住宅の品質向上や長寿命化を考慮すると、十分に価値がある選択といえます。

住宅性能評価のメリットは?デメリットや費用もわかりやすく紹介【まとめ】

住宅性能評価書を利用すれば、住宅の性能を公的に評価・証明できます。住宅の品質や性能が可視化されると、購入や使用時の判断材料になるため、入居者としては安心です。申請料や建築コストの上昇など、ある程度のデメリットはあるものの、住宅の価値向上や維持管理のしやすさを考えるとメリットの方が大きいと言えます。住宅を建てる際や購入する際には、住宅性能評価書の取得を検討して、安心で快適な住まいを手に入れましょう。

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