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2023
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CASBEEのランクとは?わかりやすい環境性能について解

CASBEEのランクとは?わかりやすい環境性能について解説

CASBEEランクは建築物の環境性能を示す重要な指標です。しかし、その内容はわかりづらく、具体的な意味やメリットを理解していない方も多いのではないでしょうか。この記事では、CASBEEランクの基本から、高い評価を得ることがなぜ建物の価値を高めるのかを詳細に解説します。その実際の影響や価値についてもまとめているので、環境に配慮した建築に興味がある方はぜひ最後まで読んで参考にして下さい。

CASBEE(建築環境総合性能評価システム)とは?

CASBEE(Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency)は、建築物の環境性能を総合的に評価するための日本発のシステムです。エネルギー効率、水の利用、資源消費、生物多様性など多角的な視点から建築物を評価し、その持続可能性を数値化します。新築と既存建築にはそれぞれ異なる評価基準が適用されます。評価項目には必須項目と加点項目があり、それらを満たすことで高い評価が得られます。建築設計や運用の段階でCASBEEを用いることで、環境に優れた建築物の設計や改善が可能になります。

CASBEEのランク

CASBEEのランクに関して、環境性能を高めるための重要な指標として、建築、不動産、ウェルネスオフィスなどの分野ごとに異なる評価基準が設けられています。各分野のランクは、環境に配慮した設計や運用の努力を可視化し、その成果を正当に評価するための指標となります。環境性能を高めたい事業者や設計者は、CASBEE評価認証制度を活用し、第三者機関による客観的な評価を受けられます。それぞれの分野におけるCASBEEのランクとその特徴について解説します。

CASBEE「建築」のランク

CASBEE「建築」のランクは、建物の環境性能を総合的に評価するものです。この評価システムでは、建築物の環境品質(Quality)と環境負荷(Load)をそれぞれ評価し、その結果から建築物の環境効果(Built Environment Efficiency:BEE)を算出します。BEEは建築物の環境性能を示す指標であり、この値に基づいて以下の5段階のランクが定められています。

  • Sランク:★★★★★(素晴らしい):BEEが3.0以上、かつ環境品質(Q値)が50以上
  • Aランク:★★★★(大変よい):BEEが1.5以上3.0未満
  • B+ランク:★★★(良い):BEEが1.0以上1.5未満
  • B-ランク:★★(やや劣る):BEEが0.5以上1.0未満
  • Cランク:★(劣る):BEEが0.5未満

評価対象は、延べ面積300平米以上の建築物であり、新築、既存、改修のいずれかで評価されたものが含まれます。この評価は建築主や事業者など、建設に責任を持つ主体が申請できます。高いランクを得た建築物は、その環境性能の優れた結果を正式にアピールすることが可能となります。

CASBEE「不動産」のランク

CASBEE「不動産」は、不動産市場でのブランディングを目的とした評価ツールです。このシステムは、投資家、金融機関、不動産会社、ビルオーナー、仲介会社、テナント、不動産鑑定士などの不動産マーケット関係者による簡略的な評価を行うためのものです。

CASBEE「不動産」の評価基準は、100点満点の総合得点に基づいており、以下のランクに分類されます:

  • Sランク:★★★★★(すばらしい):78点以上
  • Aランク:★★★★(大変よい):66点以上
  • B+ランク:★★★(良い):60点以上
  • B-ランク:★★(必須項目を満足):50点以上

必須事項を満たすだけでB-ランクが与えられ、より高得点を得ることで上位ランクが得られます。

対象となる建築物は、竣工後1年以上の運用実績を有するもので、建物全体の床面積に対して一定割合以上が事務所、店舗、集合住宅、物流施設、改修用途の部分である必要があります。この評価認証は、建築主または所有者が申請でき、その他十分な責任を負う立場にある者も申請者になれます。

CASBEE「ウェルネスオフィス」のランク

CASBEEウェルネスオフィス評価は、オフィス内での健康と生産性向上を目指す環境性能を評価するものです。評価は5段階で、必須要件を満たすとレベル1が与えられ、一般的な技術・社会水準に相当する場合はレベル3とされます。総合評価ランクは以下の通りです。

  • Sランク: すばらしい(★★★★★、75点以上)
  • Aランク: 大変よい(★★★★、65点以上)
  • B+ランク: 良い(★★★、50点以上)
  • B-ランク: やや劣る(★★、40点以上)
  • Cランク: 劣る(★、40点未満)

評価の基本性能には「基本性能」「運用管理」があります。CASBEEウェルネスオフィス認証制度は、第三者が評価の的確さを審査し、認証します。申請者は原則建築主又は所有者であり、認証の有効期間は5年です。

(参考文献:一般社団法人住宅建築SDGs推進センターCASBEEによる評価の仕組み

CASBEEでランクを取得するメリット

CASBEEで高いランクを取得することで、以下のメリットがあります。

  • 不動産の価値が上がる
  • 建物を安心して使用できる
  • 環境にやさしい建築が実現する

それぞれ詳しく解説します。

不動産の価値が上がる

CASBEEの高ランク取得は不動産価値の向上に直結します。この認証は、建物の環境性能の優秀さを第三者が証明するもので、企業の環境への配慮として認識されます。これが企業のブランドイメージを向上させ、投資家やテナントからの評価を高めることにつながります。

また、省エネ性能の高さは運用コストの削減に貢献し、入居率の向上や賃料のプレミアム化を期待できます。さらに、環境に配慮した建築は今後も需要が増すことが予想され、CASBEEの高評価は不動産の将来価値を保証する重要な要素です。このように、CASBEEの評価は、ブランドイメージの向上から資産価値の長期的な保持に至るまで、不動産価値を高める多角的な効果をもたらします。

建物を安心して使用できる

CASBEEの認証を受けた建物は、安全性と快適性に優れています。基本性能として、耐震性や耐火性が高く、災害時の安全が確保されています。室内環境は温湿度管理や空気質の維持に配慮されており、健康と快適さを支えます。省エネ効果が高い照明や換気システムが、持続可能な建物運用を実現します。これらの特徴は利用者の満足度を高め、企業の信頼性向上にも寄与します。CASBEE認証は厳格な評価を基に付与されるため、利用者は認証建物を安心して使用できます。

環境にやさしい建築が実現する

CASBEE認証による環境にやさしい建築の実現は、持続可能性への配慮を重視しています。具体的には、エネルギー効率の高い設計や再生可能エネルギーの活用が挙げられます。これらは二酸化炭素排出量の削減に寄与し、地球温暖化の抑制に貢献します。また、水資源の保全や地域の自然環境との調和を図る取り組みも評価されます。CASBEE認証を受けた建物は、環境への影響を最小限に抑えながら、人々の快適な生活空間を提供することを目指しています。これにより、環境に優しい建築の普及が進み、持続可能な社会の構築に貢献しています。

最高Sランクの建物が増えている理由

近年、CASBEEの最高Sランクの建築物が増加傾向にあります。その背景には環境意識の高まりと経済的利益への関心の拡大があります。Sランク建築は省エネ効果が高く、ランニングコストの削減効果が期待されます。また、快適な労働環境が従業員の健康と生産性を向上させる一方、企業にとっても重要な利点となります。さらに、グリーンビルディングへの関心が高まる中、企業のブランドイメージを強化する効果も期待できます。このように、最高Sランクの取得は建築のオーナーやワーカーだけでなく、社会にも多面的な利点をもたらします。

CASBEEのランクとは?わかりやすい環境性能について解説【まとめ】

CASBEEランクは、建物の環境性能を5段階で評価してわかりやすく表示する指標です。高い評価を取得することには複数のメリットがあります。不動産の価値向上や、使用者の安心感、さらに環境への配慮が評価されるため、結果として建物の質が向上します。このようにCASBEEランクは、建築業界において建物の価値と環境性能の指標として重要な役割を担っています。

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