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2023
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ZEB Orientedとは?ZEBの基準と種類について

ZEB Orientedとは?ZEBの基準と種類について詳しく解説

建築業界が環境負荷の低減を目指す中、ZEBの理解は不可欠です。この記事では、ZEB OrientedをはじめとするZEBの種類、基準、特徴について詳しく解説します。省エネルギー化されたビルを建築することで、持続可能な社会に貢献する方法を提供し、建築士やビルオーナーにとっての具体的なガイドとなるでしょう。また、ZEBの今後の進化と建築業界での重要性についても触れ、実践的な知識を提供します。

ZEB Orientedとは

ZEB Orientedとは、ZEBの一種です。主に、建築物外皮の高性能化を目的とし、さらに効率的な省エネルギー設備を導入します。

この基準は大型建築物に適用されることが多いです。具体的には、延べ面積が10,000平方メートル以上の建築物が対象となります。ZEB Orientedは、大型建築物を省エネと高機能にし、建築が環境へ与える悪影響を抑えることを目指しています。

建築物省エネ法

建築物省エネ法は、ZEBの普及を促進する重要な法律です。この法律は、建築物のエネルギー消費性能の向上を目的としており、2050年のカーボンニュートラル実現を目指して厳しく改正を繰り返しています。日本の建築物はエネルギー消費量の約3割を占め、温室効果ガスの大きな発生源となっているため、建築物の省エネ化が重要な課題となっています。

この法律により、300平方メートル以上の非住宅建築物の新築・増改築(特定建築行為)にエネルギー消費性能基準の適合が義務付けられました。ビルはその対象になるものがほとんどで、2025年からは一般住宅でも適用される予定です。建築物省エネ法は、建築物分野での省エネ努力を促し、環境への影響を減らすための重要なステップとなっています。

ZEBについて

ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)は、建築物の年間一次エネルギー収支をゼロにすることを目指す建築概念です。これは省エネと創エネの組み合わせにより達成され、建築物内の快適さを保ちつつエネルギー効率を高めます。ZEBには4つの種類があり、それぞれ定性的及び定量的に定義されています。

  • ZEB
  • Nearly ZEB
  • ZEB Ready
  • ZEB Oriented

それぞれの基準の違いを詳しく説明します。

ZEB

ZEBは、年間の一次エネルギー消費量が実質ゼロまたはマイナスの建築物を指します。定量的な判断基準は以下の二つです。

  1. 基準一次エネルギー消費量から50%以上を削減(再生可能エネルギーを除く)
  2. 基準一次エネルギー消費量を100%以上削減(再生可能エネルギーの利用を含む)

これらの基準により、ZEBは省エネと創エネを統合した建築の新しいモデルとして位置づけられています。ZEBの普及は、エネルギー消費の削減と環境負荷の軽減を目指す現代建築において、重要な役割を果たしています。

Nearly ZEB

Nearly ZEBは、ZEBに非常に近い建築物です。再生可能エネルギーを用いて年間の一次エネルギー消費量をほぼゼロに近づけることを目指します。

  1. 基準一次エネルギー消費量から50%以上を削減(再生可能エネルギーを除く)
  2. 基準一次エネルギー消費量から75%以上100%未満を削減(再生可能エネルギーの利用を含む)

Nearly ZEBは、ZEBに極めて近いエネルギー効率と環境性能を備えた建築物であり、省エネと創エネの融合により、エネルギー消費の大幅な削減を目指します。消費エネルギーを完全にまかなえる程の再生可能エネルギー設備が導入できなくとも、Nearly ZEBとして認定が受けられます。

ZEB Ready

ZEB Readyは、将来的なZEBやNearly ZEBへの移行を見据えた建築物です。そのため、建築物の外皮を高断熱化し、高効率な省エネルギー設備を備えることが求められます。

ZEB Readyの定量的な基準は、基準一次エネルギー消費量から50%以上削減することです。再生可能エネルギー設備の導入が必要ないことが大きな特徴です。この基準により、ZEB Readyの建築物は、省エネルギー性能が高く、将来的にZEBへの移行が容易になります。

ZEB Oriented

ZEB Orientedは、ZEB Readyを見据えて省エネ基準を緩和した建築物です。省エネ化が難しい大規模建築物に適しています。具体的な基準は以下の通りです。

  1. 事務所や学校・工場は基準一次エネルギー消費量から40%以上削減、ホテルや病院・百貨店・飲食店・集会所等は30%以上削減
  2. 未評価技術の導入(公益社団法人空気調和・衛生工学会によって公表された、省エネ効果が高く未評価の新技術)

も推奨されています。この基準は、省エネ化が難しい大規模建築物に適したもので、エネルギー効率と環境配慮を両立させることを目指しています。

これからのZEBについて

持続可能な未来に向けたZEBの重要性を探ります。主なテーマは以下の三つです。

  • 2050年のカーボンニュートラル
  • 補助金制度の活用
  • 高性能製品による省エネ化

これらの要素を詳しく解説します。

2050年のカーボンニュートラルのために必要

2050年のカーボンニュートラル達成には、ZEBが不可欠です。その理由は、ZEBが建築物からのエネルギー消費を大幅に減らせる点にあります。建築物は総エネルギー消費の大きな割合を占め、ここでの削減は環境への負荷軽減に直結します。

具体的には、2021年10月に閣議決定された地球温暖化対策計画において、業務部門のCO2削減率が2013年度比で2030年までに51%削減することが求められました。業務部門は、商業・サービス・事業所等。つまり、建築の中でも、主にビルを指します。業務部門だけでなく、家庭、エネルギー変換、運輸、産業部門でも同様に目標値が設定されています。ZEBの普及により、これらの目標達成が現実的になります。

ZEBは、建築物全体の省エネルギー設計を通じて、エネルギー消費の削減を実現します。ビルの環境負荷の減少は、2050年のカーボンニュートラル達成に欠かせません。

補助金制度活用による普及が期待されている

ZEBの普及は、補助金制度の活用によって加速されることが期待されています。この理由として、環境省が運営する補助金制度が充実している点が挙げられます。環境省のZEB PORTALでは、以下のような補助金が紹介されています。

  1. レジリエンス強化型ZEB実証事業:地方公共団体や民間団体が対象で、公共性の高い施設が新築・既築問わず対象です。ZEBは補助対象経費の2/3、Nearly ZEBは3/5、ZEB Readyは1/2が補助され、既築ではすべて2/3が補助されます(上限5億円)。
  2. ZEB実現に向けた先進的省エネルギー建築物実証事業:地方公共団体や民間団体向けで、中小規模の施設が対象です。新築ではZEBが補助対象経費の3/5、Nearly ZEBは1/2、ZEB ReadyとZEB Orientedは1/3が補助され、既築ではすべて2/3が補助されます(延床面積制限あり、上限5億円)。
  3. 民間建築物等における省CO2改修支援事業:民間企業が対象で、補助対象経費の1/3(上限5,000万円)が補助されます。
  4. テナントビルの省CO2改修支援事業:テナントビルを所有する法人向けで、補助対象経費の1/3(上限4,000万円)が補助されます。

これらの補助金制度により、ZEBの建築コスト負担が軽減されます。これにより、ZEBの普及が加速し、エネルギー効率の高い建築物がより広く普及することが見込まれます。

高性能製品の開発による更なる省エネ化

ZEBは、革新的な省エネ・創エネ技術の開発により、更なる省エネ化が期待できます。技術の進歩は、建築物のエネルギー効率を飛躍的に向上させる重要な要素です。たとえば、窓を例にとってみるとその飛躍的な技術の進歩がわかります。

今や当たり前となったペアガラスは、二枚のガラスの間に熱伝導率が低いガスを封入してさらに断熱性が高められています。また、中空層は16mmまでの厚さで設計され、最適な熱抵抗を確保しています。加えて、三枚のガラスを使用したトリプルガラスでは更なる断熱性能が実現します。特に寒冷地では、これらのトリプルガラスの普及が進んでいます。

高性能製品の開発により、ZEBのさらなる省エネ化が進むことが期待されます。断熱材やガラスの性能の向上は、建築物のエネルギー効率を大きく改善し、ZEBの実現に寄与します。

ZEB Orientedとは?ZEBの基準と種類について詳しく解説【まとめ】

 

この記事では、ZEB Orientedのほか、ZEBの種類、基準について解説しました。地球環境を考慮した時、ZEBの重要性はますます高まっています。建築物の省エネ化は、2050年のカーボンニュートラル達成に向けた大きな一歩です。補助金制度の活用や高性能製品の開発による省エネ化の進展は、ZEBの普及を加速し、建築士やビルオーナーが取り組むべき課題への明確な指針を提供します。

ZEBの基準を理解し、省エネビルの構築に積極的に取り組むことで、より良い未来への貢献が期待されます。地球環境とエネルギー効率のバランスを考え、建築物の省エネ化を推進しましょう。

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