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省エネ計算お役立ちコラム
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2023
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効率的な建築省エネ計算!初心者向けの実践的なヒント

省エネ計算は、建築物のエネルギー効率を向上させ、省エネ設計を実現するための計算手法です。その基本概念と目的は、建築物のエネルギー使用量を最小化し、持続可能な社会の実現に寄与することです。省エネ計算は、建築物の一次エネルギー使用量を評価し、効果的な省エネ施策の提案や設計の改善を支援します。また、省エネ計算によって得られた数値は、環境性能認証や規制遵守などの目的に活用されます。建築物の設計段階から運用段階まで、省エネ計算は全体的なエネルギー効率向上を目指す重要な手法となっています。

建築の環境性能認証における一次エネルギーの重要性

一次エネルギーは、建築の環境性能認証において重要な要素です。一次エネルギーとは、建築物が使用するエネルギーの原初の形態であり、供給源からの直接的なエネルギーを指します。一次エネルギーの使用量は、建築物のエネルギー効率を評価する際に重要な役割を果たします。一次エネルギー使用量を削減することは、エネルギー効率の向上と環境負荷の軽減に寄与します。

一次エネルギーの計算方法

一次エネルギーの計算には、建築エネルギー指標(BEI)と呼ばれる指標が使用されます。BEIは、建築物のエネルギー効率を評価するための指標であり、一次エネルギー使用量を算出する際に活用されます。具体的な一次エネルギーの計算方法は、省エネ法に基づいて定められています。

一次エネルギー消費量は、空調エネルギー消費量、換気エネルギー消費量、照明エネルギー消費量、給湯エネルギー消費量、昇降機エネルギー消費量(非住宅用途のみ)、その他エネルギー消費量(OA機器など)から太陽光発電設備等による創エネ量(自家消費分に限る)を引いた値です。BEIを使った一次エネルギーの計算方法は以下の通りです。

BEI = (設計一次エネルギー消費量 - その他一次エネルギー消費量) / (基準一次エネルギー消費量 ‒ その他一次エネルギー消費量)

新築される住宅や建築物の一次エネルギー消費量基準に適合する水準はBEI≦1.0となります。

外皮性能と省エネルギー

建築物の外皮性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)とηAC値(冷房期日射熱取得率)によって評価されます。これらは地域区分別に規定された基準値以下である必要があります。外皮性能評価のためには、建築研究所などが提供する外皮性能計算シート(Excel形式)などが広く活用されています。

一方、一次エネルギー消費量基準は、一次エネルギー消費量が基準値以下であることが求められます。一次エネルギー消費量は、空調エネルギー消費量+換気エネルギー消費量+照明エネルギー消費量+給湯エネルギー消費量+昇降機エネルギー消費量(非住宅用途のみ)+その他エネルギー消費量(OA機器など)-太陽光発電設備等による創エネ量(自家消費分に限る)で算出されます。

省エネ計算と一次エネルギーの考慮は、持続可能な建築物の設計と運用において重要な要素です。適切な省エネ計算と一次エネルギーの評価によって、エネルギー効率の向上と環境負荷の軽減を実現することが可能となります。

環境性能認証

環境性能認証には、エネルギー性能に特化して評価を行うものと、エネルギー性能に限らず総合的な環境性能を評価するものの2種類があります。

CASBEE

総合的な環境性能を評価する認証システムとしては、CASBEEやLEEDがあります。CASBEEは建築物の環境性能を総合的に評価するシステムであり、エネルギー性能だけでなく、資源循環や室内環境なども考慮されます。LEEDは米国で開発された基準であり、世界中で認証が行われており、その数も増加傾向にあります。

BELS

一方、エネルギー性能に特化して評価を行う認証システムとしては、BELSやENERGY STARがあります。BELSは建築物の省エネルギー性能の表示制度であり、建築物省エネ法によって省エネ性能の表示が求められています。

省エネ計算をサポートする会社を選ぶ際のポイント

省エネ計算をサポートする会社を選ぶ際のポイントとしては、以下のような要素が挙げられます

役割とスキル

省エネ計算サポート会社の役割や提供するサービス内容を確認し、必要なスキルや専門知識を持っているかを評価します。

サービス範囲と料金体系

提供されるサービスの範囲や料金体系を比較し、自身のニーズや予算に合致しているかを検討します。

評価によるクラス分け

省エネ計算サポート会社の評価基準としては、経済産業省が定めた「事業者クラス分け評価制度」があります。この評価制度により、事業者はS(優良事業者)、A(更なる努力が期待される事業者)、B(停滞事業者)のクラス分けが行われます。また、各社の実績や信頼性も評価基準の重要な要素です。

外皮性能向上のための設計手法

外皮性能向上のための設計手法としては、以下のポイントがあります

遮熱・断熱材の配置と性能向上への影響

外壁や屋根などに断熱材を配置することで、冷暖房効率を高めることができます。また、窓にも断熱材を使用することで、冷暖房効率の向上が期待できます。

日射利用と自然換気の最適化方法

日射利用によって冬季は暖房負荷を減らし、夏季は冷房負荷を減らすことができます。また、自然換気によって室内空気を入れ替えることで、室内の空気質を改善することができます。
これらの設計手法を組み合わせることで、建築物の外皮性能を向上させ、省エネ効果や環境負荷の軽減につなげることができます。

省エネ計算の種類

省エネ計算には、「標準入力法」「モデル建物法」「小規模版モデル建物法」という3つの方法があります。これらの方法は、建物のエネルギー消費量や外皮性能などを評価するための計算式が異なります。

標準入力法

まず、「標準入力法」は、建物の用途や規模、外皮性能、空調・換気・照明・給湯・昇降機のエネルギー消費量、創エネルギーなどを総合的に評価する方法です。様々な要素を考慮してエネルギー消費量を算出し、省エネ基準に適合しているかどうかを判断します。この方法は、建物の目的や設備の種類に応じて柔軟に対応できるため、幅広い建物に適用できる利点があります。

モデル建物法

一方、「モデル建物法」は、標準的な仕様を採用した場合のエネルギー消費量を算出する方法です。この方法では、特定の建物タイプについて、一般的な設備や材料の仕様を使用してエネルギー消費量を見積もります。非住宅用の建物であり、省エネ基準をクリアしやすい場合には、「モデル建物法」で評価することが十分です。この方法は、簡便で一般的な建築仕様に基づいているため、計算の手間が少なく、効率的に省エネ評価を行うことができる利点があります。

小規模版モデル建物法

さらに、「小規模版モデル建物法」は、小規模非住宅用の新たに開発されたより簡易な計算法です。この方法は、「モデル建物法」の考え方を基にしており、小規模な建物や特定の用途に適した計算手法を提供しています。建物の規模が小さい場合や特定の目的に特化した省エネ評価を行いたい場合に使用されます。この方法は、簡素な計算手法を用いて省エネ性能を評価するため、建築業界において利便性が高まっています。

これらの省エネ計算方法は、建物のエネルギー効率を評価し、省エネ基準を達成するための指針となります。建物の設計や改修時には、これらの方法を適切に選択し、建物の省エネ性能を最適化することが重要です。

まとめ

省エネ計算は、建築業界において持続可能な未来への一歩となる重要な要素です。標準入力法、モデル建物法、小規模版モデル建物法など、さまざまな計算方法がありますが、建物の目的や特性に応じて適切な方法を選択することが肝要です。設計や改修時には、省エネルギー効率と持続可能性を両立させることを忘れずに、よりエコフレンドリーな建物の実現に向けて努力しましょう。持続可能な未来のために、私たちの行動が重要な役割を果たします。

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